手作業での細かいもの作りが 好きだという高橋さんとその作品

 

バンクーバー・ファッション・ウィーク 2014年秋冬コレクション

満席の会場

奇抜なファッションで目立っていた一般客

 

 

VFWに出演したきっかけ

「現在は本格的にブランドをやっているのではなく、アパレルでパタンナーの仕事もしています。ゆくゆくは本格的にやっていくつもりですが、今から少しでも自分の名前を知ってもらおうと、去年8月から作品発表や個人のお客様からオーダーを受け始めました。そんな時に、VFWの谷口公香さんやプロデューサーの方に声をかけて頂きました。まだきちんとビジネスとしてブランドをやっているわけではないので、最初は辞退しようと思ったのですが、海外でショーを経験してみたかったこと、また将来はコレクションブランドにしていきたいといったことも踏まえて決めました。なによりも、単純にショーをしてみたいという気持ちが一番でした」

 

独自のブランド「Yuhshi Takahashi」のコンセプト

「服を通し、心の中にある物語を呼び覚ますアイテム。また、現実世界を生きている中、ふと、いつもと違う自分を想像することもあったり…。そんな時、いつもとは違う自分を見つけられる、空想世界に行くためのアイテム。毎日でなくても、休日だけでも着たくなるような服作りを目指しています。生きていくことは長く大変だけれども死ぬ時は一瞬で、また作り上げることは長く時間がかかるけれども、壊す時は一瞬で壊すことができます。その一瞬の短さや儚さが美しいと思っていますので、その美を作品に反映できるよう意識しています。また私は空想の物語での女性像を描いたりするので、その物語のイメージも作品に現れます。ここ1~2年はもう一つの地球である理想郷に住む天使たちをイメージしています」

 

ファッションデザイナーになる決意

「気がつくと『将来何を本職として、何で生きていくのか?』という疑問がいつも心の内にありました。吃音症という言語障害があるため、人前で話しをしたり、言葉を使って自分を表現することが苦手でした。もとより何かを形にしたり創り出すという活動が好きでした」と話す高橋さん。ある日、起きたら「服だ!」と閃き、服作りを決意したそうだ。

 

 

華やかなレース仕立て

 

 

カジュアルなデザインも

 

 

去年に比べ今年は男性服も多く見られた

 

コンセプトの生まれるきっかけや心がけ

「デザイナーになるきっかけにも関連してるかもしれませんが、吃音症のことを意識し始めてから年齢を重ねていくうち、どんどん内向的な性格になっていきました。その頃から生と死、物作りと破壊の中に一瞬の儚さやあっけなさという共通の美を見出しました。自分自身は強い精神力や意思はないと思いますので、逆にそれが上手く作品に反映できるようにしています」

 

洋服の役目とは

「衣食住の衣にすぎないと思います。お洒落やデザインするとかは欲でしかなく、自分自身もその欲に囚われていると思います。でも時にそれが、心の栄養にもなると思います。今回ショーに参加して、カナダを含め他の国の作品を見ながら何かを発見していくと思います」

 

制作においてのインスピレーション

「具体的なこととして、構築的なものと形を留めないものなど、両極端なものが入るよう意識しています」

 

 

観客を魅了した高橋さんのショー

 

高橋さんの作品は後ろ姿にも注目したい

 

 

レゴをあしらったカラフルで斬新なデザイン

 

近未来的なデザインに注目

 

 

今後の目標

「コレクションブランドとしてやっていきたいですが、今、世の中にあるブランドのように大きくはしないつもりです。オートクチュールとプレタの間くらいで、手間のかかる手作業も取り入れてデイリーユースにも使える服作りをやっていきたいと考えています。デザイナー・縫製工場・その他の加工などが、一つの場所でできる形にしていきたいです。ビジネスパートナーやアドバイザーなど見つけられたらと思います。自分自身も技術的な面でももっと経験を積んでいきたいです」

 

VFWで紹介された高橋さんの作品

日本らしい折り紙の生地や、背中に天使の羽が生えているもの、あえて布を切ったままの状態にして脆い感じをだしているものなど、一着一着に細かな高橋さんの心が見られた。また、大量生産はできないワンアンドオンリーに近いものづくりを意識している高橋さんの作品は、時間を惜しまず制作されている。さらに、白と黒を基調にすることで「光と闇」を表現。光と闇は表裏一体、生あるものは死へと向かう。そんな「儚さも脆さも」表現した作品は、着る者にもうひとつの世界、もうひとりの自分を感じさせる。素材とパターンのマッチングや実験的なシルエット、そして着た時に布が空気をはらみ美しく揺れるような彼の作品は、舞台の上で、まるで洋服が呼吸して生きているように見えた。

 

 

 


 

高橋悠史 Yuhshi Takahashi


岐阜県出身のファッションデザイナー
2009年 文化服装学院 オートクチュール専攻科卒業 アパレルメーカーに勤務
2013年 独自のファッションブランド 「Yuhshi Takahashi」を立ち上げる
問い合わせ: This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

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