日本人&日系出演者へのインタビュー

 

Yui Kawaguchi and Aki Takase  photo by Falk Wenzel

 

川口ゆい(かわぐちゆい)さん

「ベルリンで最も優れたダンサーの一人」(Tanz)と呼ばれ、幅広い分野とコラボレーションを重ねる 。世界的成功を収めている、ドイツ発ブレイクダンスとバッハの競演『Red Bull Flying Bach』のオリジナルキャスト。2014年1月に映像作家・石橋義正氏との新作『MatchAtria』を発表。

 

日本とドイツでの活動について

自身の作品づくりの他に、音楽家や造形・映像作家の方などとのコラボレーション、学術関係の方との共同リサーチ&ワークショップ、また他の演出家や振付家の作品にダンサーとして参加しています。


バンクーバーでのVIDF 2014に出演する心境

カナダは2000年に初めて訪れて以来4回目になりますが、バンクーバー公演は今回が初めてです。ベルリンで親しくしている友人達がバンクーバー出身なこともあり、とても楽しみです。
「カデンツァ - ピアノの中の都市V」は2008年から続けている、高瀬アキさんとのデュオ・シリーズの第5弾で、ヨーロッパのみならず日本でも公演させて頂いています。作品は音楽用語「CADENZA(カデンツァ)」からインスピレーションを得て、秩序と即興のゲームをコンセプトに、様々な球体のイメージを音やダンスに 取り込みながら展開されます。ピアノという非常に文化的で洗練された楽器の複雑な構造と、都市の構造とを照らし合わせて創り出された舞台美術や衣装も見所になっており、クラシックなピアノだけをご存知の方がご覧になったら、ビックリされるようなこともあるかもしれません。

 

高瀬アキ(たかせあき)さん

ヨーロッパを中心にジャズ、即興音楽シーンで活躍。国際的に高く評価され、欧州ほか、世界各地で演奏活動しているジャズ・ピアニスト。現在、主に活躍しているユニットとしてはNEW BLUES、LA PLANETEの他、クラリネット奏者のLouis Sclavis、ドラマーのHan Benninkとのデュオ、 並びに作家の多和田葉子と『言葉と響き』のパフォーマンスなどがある 。

 

日本とドイツでの活動について

欧州ではピアノソロ、また様々な楽器奏者と組んでいるデュオ(バス・クラリネット奏者)によるコンサートを行っています。私のオリジナル作品を軸に即興演奏を繰り広げるフランス人音楽家達とのコンテンポラリー室内楽カルテット “LA PLANETE”は、今年2月に新譜CD『Flying Soul』をスイスのIntaktレーベルより発売しました。
もう一つのユニットは、ジャズ演奏家達の作品を私の音楽的視点から改めて編曲した曲目をベースに演奏し、また即興を通して更に新しい展開を試みている『NEW BLUES』クインテットです。2013年にCD『New Blues』をドイツのenja-yellowbirdレーベルより発売しました。日本では一年に1、2度自身の、あるいはカルテットなどでコンサートを行っています。

 

バンクーバーでのVIDF 2014に出演する心境

カナダには数年前にツアーをして、6都市を訪れました。今回は「カデンツァ - ピアノの中の都市V」を川口ゆいさんと公演する機会を得て、とても光栄に思っています。球という象徴的存在から、リズム、跳躍感、連続、不連続に繋がるさまざまな不協和音、轟音を通して球との密接な関係にある想像力の実体に迫りたいです。バンクーバーの観客の皆さんの目に私たちの公演がどのように映るのか、また、どんな反応が返ってくるのか今から楽しみです。

 

 

Micheal Sakamoto and Rennie Harris  photo by Janelle Waterford

 

マイケル サカモト(Michael Sakamoto)さん

日系アメリカン・ダンサー。シアトル出身。写真撮影、インスタレーション(配置芸術)とメディア芸術と同様に、舞踏ベースのダンスの舞台と現代的で学際的なパフォーマンスを展開している。

 

日系アメリカンのダンサーとして

私は、異文化間の狭間にいる舞踏アーティストだと感じています。これは私の文化的な背景によるものです。ヨーロッパ、アフリカ、ラテン・アメリカ、また他のアジアの歴史、文化と言語を取り混ぜた自分のアイデンティティーを誇りに感じており、フィルム、音楽、舞踏公演に活かしています。日本的な多くのものと日系アメリカ人であることも同時に愛しています。安いラーメン、1970年代アニメ、戦後の道具、(シアトルの)UHFテレビで見た演歌。私が育った時代に日常的だった日系の文化の要素の全てが、私のDNAの中にあると感じます。実際、それらは常に私の創作に大きく影響を与えました。

 

初めての日本公演について

2009年の大阪での初回公演はとても感動的でした。
関西からの現代太鼓の夫婦デュオ『黒拍子』、私が一時期暮らしていたタイのチェンマイから招いたThitipol Kanteewong、そして、私の同僚(作曲家、音楽家)によるプログラムでした。それは、伝統的、抽象的、感情的、現代的な日系アメリカ人の舞踏でした。それ以来、私は東京、大阪と京都でも他のプログラムを行いました、そして、パフォーマー同士で本当のネットワークができたように感じます。

 

今回の演目『Flash』について

共演者のレニーと自分自身、ヒップホップ文化と舞踏哲学、そして、アメリカの都市の貧困と暴力を知っている2人の間で、この演目『フラッシュ』は、精神的なダンス会話のような感じです。レニーと私はこれらの環境下での我々の経験から、スタイルだけでなく、私たちの人生の感覚を表現しています。舞踏とヒップホップ・ダンスは、双方ともに社会的周辺の感覚を表現しています。戦後の東京と南ブロンクスの混沌は、断続性、攻撃性を体現していて、これらをリミックスした「危機の体」を描いています。

(取材:北風 かんな)

 


 

有料公演(全て開演は8pm)

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Guangdong Modern Dance Company with Goh Ballet:

Select Works/Mustard Seed

VP: 3月 7日 (金)、 8日(土)

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ココロ・ダンス

RHPC: 3月 13日(木)、14日(金)、15日(土)

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川口ゆい&高瀬アキ: Cadenza – Die Stadt im Klavier V

RHPC: 3月 21日(金)、 22日(土)

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Israel Galván: La Edad de Oro

VP: 3月 22日(土)、 23日(日)

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Montréal Danse and Créations Estelle Clareton: S’envoler

RHPC: 3月 27日(木)、 28日(金)、29日(土)

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公演&ワークショップのチケット購入法


オンライン:ウェブサイトwww.vidf.caより。

電 話:604-662-4966

当日券:VPでの公演は7:30pm〜、RHPCでの公演は6:30pm〜、
空席がある場合に販売される。

 

 

DANCERS DANCING photo by David Cooper

 

 

GUANGDONG MODERN DANCE COMPANY WITH GOH BALLET photo by LI Jiannyang

 

 

CREATIONS ESTELLE CLARETON AND MONTREAL DANSE photo by Ben Philippi

 

 

ISRAEL GALVAN photo by Felix Vanzquez

 

 

Kokoro Dance  photo by Chris Randle

 

 

10 Gates Dancing Inc in Partnereship    With Public Recordings   photo by Rod MacIvor

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。