小さな一枚だけど、気持ちの輪を広げたい

ワンセット2.5ドルで販売されるフォトカード。去年のジャパンフェアと日系クラフトフェアでは売上総額は1800ドル余りになり、被災地津波到達最高地点全域に桜苗木を植えるNPO法人「桜並木プロジェクト」に参加して、7本の桜の苗木を植えた。「わずかなことだけど、私たちの気持ちが詰まっています。皆さんのお力添えをいただき復興を祈り、被災地にお届けしたい。そして、継続は力といわれるように私たちも続けていきたい」というメンバーの思いは一致。その共感の輪はメンバーだけに限らず、広がっている。ジャパンフェアの会場でも「がんばって!」、「友だちへのバースデーカードにします」なんて声をかけられたりすると、「やってよかった!また来年も、という気持ちになりますね」一枚のフォトカードは、池に小石を投げて広がる波紋のようなものかもしれない。
モチーフは桜、日本の風景、春の花、かわいい犬猫などバラエティに富み、いずれもアートセンスにあふれていて、カードとしてはもちろん、フレームに入れてインテリアにする人も多いとか。

すなおな感性でシャッターを押す

「ケイコアイフォトクラブ」は2007年にスタート。指導はプロ写真家の今泉慶子氏。大自然の営みの一瞬を切り取った今泉氏の作品は、2011年のカナダのプロ写真家協会(PPOC)で入賞、2012年BC州のプロ写真家協会(PPOC-BC)で最優秀賞を獲得。また、パリの写真コンクールでも入賞するなどの経歴がありながら、クラブメンバーとの関係は、いたって和気あいあい。日頃のお茶飲み友達の延長に見える。細かな技術論より、ありのままのすなおな感性の赴くままにシャッターを押すことを大切にするという。「わっ、かわいい、きれい」、そんなイメージのフォトカードになっている。
取材のときは、ちょうどジャパンフェア前の総会の日だったが、作品選びや、出品作業の打ち合わせは、にぎやかな中にも、「この作品のデータは…?」といった情報交換にも、プロはだしの会話が飛び交っていた。少しでもよい作品を、という熱心さはこの和やかななかにもあるようで、撮影会のときなど、被写体からなかなか離れようとしないという。

また、最近は写真と音楽をリンクした映像作品にチャレンジしたり、コンピューターソフトのフォトショップを使って画像処理をしたり、メンバー各人の意欲は衰えることを知らないようだ。メンバーのキャリアは、多士済々。その経験を活かし、ブースの設営や、マーケティング手法まで動員し、楽しみつつもこのチャリティーイベントの成功に真剣に取り組んでいた。

 

(取材 笹川守)

 

Sakura Daysジャパンフェア

4月6日(土)、7日(日)10am〜5pm
バンデューセン植物園
(5251 Oak Street, Vancouver)

チケットなど詳細はウェブサイトにて
http://www.vcbf.caまたはhttp://japanfairvancouver.com

 

写真提供 ケイコアイフォトクラブ

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