2008年に世界チャンピオンになったそうですね。

友香さん(以下Y):2008年の女子総合世界チャンピオンです。2002年に姉妹ペアで総合優勝しています。2002年は個人部門でも姉(智美さん)が優勝しました。

一輪車の競技大会はジュニアやエキスパートといった部門に分かれているようですね。

Y:2002年も08年もジュニアではなく、総合部門で優勝しました。年齢など関係なくエキスパートという一番高いクラスです。

すばらしいですね。世界最高レベルの一輪車の技術を持つお二人ですが、一輪車を始めたきっかけは?

智美さん(以下S): 結構、ありきたりなんですよ。7歳の誕生日プレゼントを買ってもらいにトイザらスに行ったとき、決めかねていたら、「じゃあ、一輪車にしたら?」って言われて、買ってもらいました。小学校1年生のときです。

そのとき、一輪車を選んでいなかったら、今の境野姉妹の活躍はなかったかもしれませんね。日本は一輪車が盛んで、学校でプログラムを取り入れていたりするので、お二人も学校の活動で始めたのかと想像していました。

S:私たちの学校は一輪車プログラムはありませんでしたね。
Y:当時、同じマンションに住んでいる子どもたちの間で流行りだして、みんなで一緒に乗ったりしていました。最初の一輪車は、今、乗っている競技用とは違って、プラスチック製のおもちゃの一輪車でした。

おもちゃの一輪車で遊んでいたのが、世界トップレベルまで“極める”ことになったきっかけのようなものはありましたか?

S:私と妹が一輪車に“はまった”ので、母が一輪車クラブを見つけてきてくれました。見学に行ってみたら、みんなタイヤの上に立っていました。「これはすごいね。私たちもできるようになりたいね」とクラブに入りました。
そのクラブでどんどん上達したんですけど、半年後に引っ越すことになって、その引越し先には一輪車クラブはありませんでした。二人とも、一輪車を続けたかったのですごくショックで、母にそう話をしたんです。 そしたら、母が一輪車クラブを作ってくれたんです。

えっ?クラブを作ってくれたんですか? もしかして、お母様は体育会系ですか?

S:いえ、パソコンをしたり、どちらかというと文系です。
Y:だから、一輪車も体育会系で教えるというよりも、頭を使って、文系的に教えてくれる感じでした。母は一輪車には乗れないのですが、指導するためのライセンスを取るために勉強してくれました。どちらかというと体育会系と真逆で、運動神経はたぶんそんなに良くないんじゃないのかな。クラブとして活動するためにはコーチも必要でしたので、コーチになるために勉強してくれました。
父も母と同じでパソコンで仕事をして、身体を動かすという感じではありませんね。

今回の出演について、シルク・ドゥ・ソレイユから話が来たのはいつごろでしたか?

S:働き始めたのは2011年の11月からで、その1年前に契約しました。だから約2年前ですね。

出演が決まったときの気持ちを教えてください。

S:私たちもキダム(Quidam)の日本公演を観たんです。シルクのショーにいつか出たいね、って話をして、ずっと二人の夢でしたから、やっぱり嬉しかったです。

特にこれまで支えてくださったお母様が喜ばれたのでは?

Y:時差の関係でメールが届いたのが、早朝5時過ぎだったんです。で、母に起こされて、「こんな早くにどうしたの?」って思ったら、オファーのお話でした。

アマルナのツアーは4月19日にモントリオールで始まっていますね?

S:公演が始まったのが4月でその前にクリエーション期間がありました。新作なので一から作る必要があり、私たちが到着する前からショー作りは始まっていて、加わってからは演目作りですね。半年かけて作りあげたものです。

言葉の問題とか大変ではないですか?

S:ディレクターの方と私たちだけで話をするときは、分からないときはすぐに聞き返せるのでいいんです。でも、出演者全員に話をするときとかは、分からないことがあっても、みんなの時間を取るわけにはいかないので、難しいなと感じます。
毎週1回全員でのミーティングがあって、その内容については送ってくれるので、しっかり読むようにしています。

アマルナには、キャストとクルーを合わせると、オーストラリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、中国、コロンビア、フィンランド、フランス、ギリシャ、日本、モンゴル、ロシア、スペイン、スイス、ウクライナ、英国、米国など17カ国からの人が参加しているそうですね。

Y:いろんな文化があって楽しいです。持っているものや食べ物とかも違いますし。

実はモンゴルも?と資料を見て、ちょっとびっくりしました。

S:モンゴルはコントーションっていう、身体を“ぐにゅぐにゅ”に柔らかくする、柔軟芸の先進国なんです。中国雑技団のイメージがありますが、このショーで柔軟芸を見せてくれるのも、モンゴルとウクライナの人です。すごいですよ。

お二人の衣装…特にスケルトンのスカートみたいなものは、衣装を着けて演技するのが大変そうです。

Y:私たちもクリエーション期間に衣装を見せられた時、「これつけるの?」ってびっくりしました。持ってみたら重いし、実際に着ると、一輪車で大切な骨盤がうまく動かせなかったり……。一輪車では曲がるときに骨盤を使うんです。
そういう話をしたら試行錯誤して、重さについては10%軽量化してくださったので、随分やりやすくなりました。今でも重いし、いつもどおりに簡単に曲がれるわけではなく、常に頭を使っている必要はあります。間に磁石が入っているので、気を遣ってやっています。

最後に公演に訪れる読者にメッセージがあれば。

一輪車以外にも観客の皆さんのところに行く場面もあります。タッチして「びっくりした~」とか日本語が聞こえるとすごく嬉しくなるので、日本人の方はぜひ声をかけてくださいね。一輪車の衣装でなくても、私たちだとたぶん分かりますので。

 

(取材 西川桂子)

 

アマルナ(AMALUNA)公演情報

女王のプロスペラと月のサイクルに導かれたミステリアスな島でプロスペラの娘の成人を祝うセレモニーと、彼女と恋に落ちた青年の愛が試される物語。

 

〜2013年1月20日(日)

Concord Pacific Place 88 Pacific Boulevard, Vancouver

$43.50〜(グループ割引あり)

1-800-450-1480 / www.cirquedusoleil.com

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