2020年2月13日 第7号
冬〜新春 時節の俳句 好打 献(一九九七〜二〇一三 バンクーバー在住)
満天の星座色濃し冬に入る
河豚酒で火照り顔して銀ブラす
風受けて恥じらい咲きの寒椿
木枯らしや湊の舟の軋みあい
木枯らしに角突き合わす舟二艘
はんぺんを割れば真っ白寒波来る
風強く裸木同志ちゃんばらす
海峡に落暉一閃冬かもめ
彩雲の輝き残し冬日落つ
道端に籐椅子ひとつ冬ざるる
古本屋匂いと色のくすむ冬
低音のしみいる冬のチェロソナタ
せわしさと淋しさは別年暮れる
初空を悠々と行く雲二片
古里を肴に盛りて年始酒
新春の物産展の地方弁
葉牡丹の襞へと朝日溶け込めり
バンクーバー新報 2020年2月13日号掲載