2019年12月12日 第50号
11月24日より、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のグランビル・アイランドにあるWaterfront TheatreにてDeb Williams監督による「Bad Hats Theatre's Peter Pan」の上演が開始された。初日の24日に記者は観賞したが、当日はたくさんの大人や子どもで賑わい、224席の会場は満員となっていた。ショーはストーリーが朗読されながら進んだことや、ミュージカルシーンがたくさん組み込まれていたことから、最初から最後まで大変理解しやすく、ワクワクした時間を過ごせたという人が多かった。また、ショーの後には、観客から役者への質問コーナーが設けられ、ショーに魅了された子どもたちは次々と質問をし、大いに盛り上がりを見せた。
ミュージカルの一場面。バイオリンやピアノ、金管等の楽器を使った生演奏でのミュージカルが楽しめる
ピーター・パンのあらすじ
ある夜、永遠の少年ピーター・パンと妖精ティンカーベルはある一家の3姉弟に出会う。逃げ出した自分の影を取り戻しにその一家に来たピーター・パンは、長姉のウェンディに影を縫い付けてもらった後、とある話の流れから、自国であるネバーランドへ、ウェンディを含む3姉弟とともに空の旅へ出発することに。ネバーランドへの到着後、ピーター・パンへ恨みを持ち、海賊でもあるフック船長がピーター・パンへ攻撃を仕掛けるが、3姉弟が巻き込まれないようにと避難させるも、ピーター・パンと仲良くなったウェンディに対するティンカーベルの嫉妬心が、ウェンディを危険な目にあわせることに。これに怒ったピーター・パンは、ティンカーベルを永久追放。永久追放されたティンカーベルはさらに嫉妬することになってしまう。このティンカーベルの嫉妬心を利用したフック船長率いる海賊たち対ピーター・パンと子どもたちの決戦が繰り広げられる、冒険物語となっている。
Bad Hats Theatre's Peter Panの魅力
このショーの魅力の一つは、「想像力」で楽しめるものであるということだ。例えば、ピーター・パンやウェンディたち3姉弟が空を飛ぶシーンはあるものの、ロープを使っているわけではない。ピーター・パンや3姉弟たちが船に乗るシーンはあるものの、大きな船模型が出てくるわけではない。巨大なワニが出てくるシーンがあるものの、ワニの人形が出てくるわけではない。見たままの小道具によってではなく、様々なアイディアでそれらのシーンが実現されていることがとても新鮮で、魅力的であった。
子どもたちの想像力
観客から役者への質問コーナーでは、子どもたちからたくさんの質問が投げかけられた。その中でも、特に印象的だったのが、「あの黄緑色のキラキラしたボールが、ティンカーベルだったの?」という質問だ。ティンカーベル役はMarlene Ginaderさんが務め、衣装はティンカーベルそのものであったが、いつも片手には手のひらに収まる程の大きさの黄緑色のボールを持っていた。シーンによっては、ボールがピーター・パンの方へ飛んで行ったり、役者間をふわふわキャッチボールされたりすることもあった。その子の認識の通り、そのボールは、ティンカーベルの大きさや動きの速さ等を実現させるために使用されたものだったのだ。質問コーナーの司会を務めたフック船長役のJosue Laboucaneさんは「君の言う通りだよ!君の想像力は素晴らしいね。また、僕たちの創造したものが伝わってとてもうれしい」とコメントし、同じ想像をしていたと思われる子どもたちの中には、ガッツポーズをして喜ぶ子どももいた。
Bad Hats Theatre's Peter Panの上演は2020年1月5日まで行われる予定。年齢対象は4歳以上となっており、子どもだけでなく、妖精を信じる人、子どものままでいたい・子ども時代が懐かしいと思っている人、創造(想像)に興味のある人等、たくさんの人が楽しめる内容となっている。(上演はすべて英語で行われる)
■詳細・チケットの購入はWebサイトまで(https://www.carouseltheatre.ca/plays/peter-pan/)
(取材 わしのえりか/写真提供 Tim Matheson)
フック船長が子どもたちをおとりにするシーン