2019年9月12日 第37号
ピーター・シンコダさん、ケヴァン・オオツジさん、 タイガ セイヤさんインタビュー
左からタイガ セイヤさん、ピーター・シンコダさん、ケヴァン・オオツジさん。ケヴァンさんがトークショーで出演した日系祭りの会場で
日系カナダ人の俳優であるピーター・シンコダさんとケヴァン・オオツジさん、そして俳優のキャリアを積むために日本から来たタイガ セイヤさんは、アメリカのテレビドラマ「The Terror」で共演。この3人に日系の俳優としての今と、これからを語ってもらった。
モントリオール出身のピーターさん、バンクーバー出身のケヴァンさん共に多数の映画やテレビドラマに出演しているベテラン俳優。ピーターさんは11月に公開予定の映画「ミッドウェイ」にも出演している。2人に囲まれて緊張気味のタイガ セイヤさんと、時折からかいながら励ましている先輩俳優といった楽しい雰囲気でインタビューが進んだ。
日系人俳優はまだ少ないですか。
ケヴァン(以下K)「以前よりは増えてきたと思います。でも日系人の俳優があてられるのは、いまだにアジアのギャングとかが多いですね。もちろんそういう役も演じて楽しいとは思うし、異議を唱えようというわけではないのですが。そういう傾向も少しずつ変わってきていると思います。どんな役をやるかもそうですが、やはり大切なのは内容ですよね。良い脚本の作品に出るということが大切です。そういう良い作品を俳優だけでなく、監督、スタッフなどいろいろな人が支えて作り上げる。その中に日系人もいるというだけのことなんです」
タイガ セイヤ(以下S)「『デアデビル』を見てピーターの大ファンになりました。ケヴァンさんと共に、自分にとっては雲の上の存在。『The Terror』で2人と共演した経験は、大きな意味のあるものでした」
ピーター(以下P)「ケヴァンとは以前にも共演したことがありますが、セイヤとは『The Terror』で初めて共演しました。ある程度経験を積んだ自分としては、若い世代に良い影響を与えることができたならうれしいし、そうした役者と一緒に働くということも素晴らしいことです。日本から俳優を目指して来加したセイヤみたいな存在も、これから増えてくればいいと思います」
ドラマ「The Terror」について。
K「私たち3人が共演した『The Terror』シーズン2エピソード5は日系アメリカ人であるリリー・マリエ(編注 マライエとも表記。代表作にTVシリーズ「ER」)が監督しました」
P「素晴らしい才能を持つアジア系の人たちが、この作品に関わっています。これまでは、アジア系俳優が出演する作品でも白人が監督や脚本を担当していたのが変化してきてますね。アジア系の物語を語るには、そのバックグラウンドに詳しい人たちがもっと関わるべきだと思います」
今後の目標など
K「演じることは好きです。自分とは考えが違っても、その人柄や考え方を理解しようとし、それが自分の考え方に影響を与えることもある。いろんな人に対してオープンでありたいと思いますね。悪人でも、悪事を働くまでの経緯や、どう考えてこういう行動に至るのか洞察をして表現できるように演じたい。そして、素晴らしい作品に関わって才能ある人たちと働きたいです。人間の本質に迫るような良い内容の作品に関わりたいですね」
S「いつかマーベルのヒーローみたいなものを演じたいですね。自分は人生の意味みたいなものをまだ探しているところで、『変化』が自分にとって今のメインテーマなんです。簡単なことではないんですが」
P「まずは今のような俳優としての仕事を続けていきたいということ。そして2人のように大きなプロジェクトにも関わりたいとも思います。また、自分が演じてきたものを見てこの世界に入ってくる若い世代がいるということは、何にも代えがたい喜びです。若い世代がどんどん入ってきて、アジア系の俳優が業界を変えていってほしい。自分がもし、そのきっかけになれるとしたらうれしいですね」
(取材 大島多紀子)