自分や他人を守るために活かす武道
少林寺拳法とは「人づくりの行」であるという。「自分を高め続けられる人、周囲の人々と協力して物心両面にわたって豊かな社会を築くために行動できる人を育てています」(少林寺拳法オフィシャルサイトwww.shorinjikenpo.co.jpより抜粋)。単なる武道にとどまらない理念があることが分かる。少林寺拳法は自己確立を目標とし、己のためだけでなく人のため社会に役立つ人作りをも目指しているという。練習の際には常にパートナーと組み共に技術を磨いていく、瞑想を通して禅の精神を学ぶといった心身と精神の両面を鍛えることを目的としている。

厳しくも熱心な指導
Trout Lake Community Centreで20年以上も続いているというこの道場では、現在月曜日と金曜日の午後7時半から9時半までと、土曜日の午後2時半から4時半までの週3日の練習日となっている。
これは13歳以上の大人向けのコースで、土曜日午後1時~2時半には子供向けのコースも開講されている。子供の頃から少林寺拳法を続けてきたルイさんはバンクーバー支部の副支部長でもある。
「上級者の方の技法を見ているとひきこまれるものがあり、もっと自分も上達したいと思います」と飽くなき探求心を示す。
練習は礼から始まり準備体操、鎮魂行を朗読、座禅を組んでの瞑想と続き、体力作りのための運動をしてからおのおの胴着を付けて技の練習となる。この技の練習は少林寺拳法の中での剛技、つまり突きや蹴りの攻撃とそれを交わす守りの練習である。最後に、手首を握ったりして抜き、投げる、固めるという柔法の練習を行う。この剛と柔とを兼ね備えているのも少林寺拳法の特徴だ。パートナーと組むときにも礼で始まり礼で終わるという相手を敬う心と、相手を倒すことだけが目的ではなく常にお互いに上達しようとする心とが練習を通して培われていく。

練習以外でも交流を深める
参加者に話を聞いた。UBCで少林寺拳法をしていたというマリヤさんは、護身術や運動として始めたが、その魅力にどんどんのめりこみもう4年ほど続けている。この道場について尋ねると「先生たちは利益を得るために教えているのではなくて、自らが教えたいという情熱が感じられるのがとてもいいですね。教え方も上手で私もいつも刺激されています」と答えてくれた。日本の大学3年生で現在休学してUBCに通っている仙波美帆子さんは大学に入ってから少林寺拳法を始めた。武道の中ではあまり危険度が高くないのも良い点で今までに怪我をしたこともないという。「練習の後にみんなで食事に行ったり、BBQをしたりしてコミュニケーションを取れるのも楽しいです」と語る。ここに集うのは人種、性別、年齢もさまざまで普段付き合う機会のない世代とも交流ができ、アットホームな雰囲気なのも通い続けたくなる理由の1つかもしれない。
9月2日(日)にノースバンクーバー市のキャピラノ大学にて「第3回少林寺拳法北米大会」が開催される。カナダとアメリカの全支部が集まり技術の向上とともに親睦を目的としている。日本からも少林寺拳法世界連合の会長が来場される予定。


(取材 大島多紀子)

 

道場での練習について問い合わせは下記まで。

電話:604-451-9491

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ウェブサイトは www.shorinjikempobc.ca

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