2018年11月8日 第45号
ブリティシュ・コロンビア州バンクーバー市のダウンタウンにあるラーメン店で11月3日、日本人の書道家によるアートパフォーマンスが行われた。 バンクーバー在住の女流書道家の姫洲(きしゅう)さんによるもので、「キャンバス」になったのはロブソン通りに面する家家家(Yah- Yah- Ya)ラーメン店内にある白壁。
カウンターの上にあるスペースに、横幅約2メートル、縦約1.5メートルの大きさで「家 家 家 YAH-YAH-YA RAMEN」と馬毛筆などを使って黒と赤のペイントで描いた。
出来上がった書道アートの前で記念撮影する姫洲さん
同店のゼネラルマネジャーである渡嘉敷優子さんは、他のイベント会場で姫洲さんの書道アートパフォーマンスを見たことが心に残っていて、姫洲さんの友人が同店で働いていたこともきっかけとなって今回のパフォーマンスが実現した。
ランチタイム後の休憩時間が始まる頃、浴衣姿の姫洲さんは大型の脚立に上って壁の「キャンバス」に向かった。引き締まった表情でしばらく構想を練った後、下書きなしで筆を走らせ20分ほどで描き終えた。
「お店の壁に筆で文字を描くというのは初めての経験でした。やり直しのきかない一発勝負だったので緊張感を持ちながらも、描いている時はとても楽しかったです」と終わった後には笑顔を見せていた。
姫洲さんの活動を応援したいという思いが強かった依頼主の渡嘉敷さんは「思っていたより迫力があるパフォーマンスでした。勢いのある筆の動きを楽しめましたし、そこに力強さや活力を感じました」と躍動感のある筆の流れの出来栄えに満足した様子だった。
日本の高校を卒業した後にカナダに渡り、ブリティシュ・コロンビア州立大学を卒業したこともあって、バンクーバーを活動の場に選んだ姫洲さん。
「展覧会で自分の書道アートを観ながら涙してくださる方たちを見た時は、書道はただの書き物ではなく、コミュニケーションツールなのかなと思いました。ですから描く時はプロセスや思いを大切にしています」と話す。
7歳から始めた書道で人と人とのつながりを持ちながら、作品によって心の内の平和をもたらすのが願いという。
今後はカナダだけに留まらず世界中にフィールドを広げ、書道アートによって世界の架け橋になるのが目標と語った。
姫洲さんは書道のワークショップの他にも、8週間コースの教室を季節ごとにキツラノで開いている。
問い合わせは、This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.まで。
(取材 古川透)
書道アートを眺める渡嘉敷優子さん(左)と姫洲さん
白壁に筆を走らせる姫洲さん
カウンターの上に描かれた書道アート