2018年10月4日 第40号
世界で活躍するバイオリニストのカレン五明さんが、再びバンクーバーにやってくる。10月19日、20日にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市内のUBCチャンセンターでバンクーバー交響楽団(VSO)と共演。ブラームスの『バイオリン協奏曲ニ長調』を演奏する。
1703年ストラディヴァリ製バイオリン『エクス・フーリス』(Ex Foulis)を使用するカレン五明さん
憧れのヨーロッパ
モントリオール育ちの日系カナダ人、カレン五明さんにとってバンクーバーは特別な場所である。
2017年には日系文化センター・博物館支援のために、メンデルスゾーンの『バイオリン協奏曲ホ短調』を演奏した。哀愁をおびた出だし、名器1703年ストラディヴァリ製バイオリン『エクス・フーリス』(Ex Foulis)で温かな音色を響かせたその美しい演奏姿に魅せられた人も多い。
現在はドイツに在住。「ずっとヨーロッパに惹かれていました。特にドイツはクラシック音楽のメッカで、歴史のある街です。たとえばバッハ、ベートーベン、ブラームスはドイツ人の作曲家です。歴史が持つ豊かさ、多様な文化がこの街のライフスタイルに反映されています。毎日が果てしない発見でいっぱいです」と話す。
ドラマのような大作
今回演奏するのはブラームスの『バイオリン協奏曲ニ長調 作品77』。中間部に「バイオリンによるコロラトューラのアリア」と評される部分があり、「ブラームスが創作した最高の旋律」とも呼ばれている。
カレンさんは「バイオリンのレパートリーの中で、大作とも言える作品です。すべての章に完成度の高い驚くべきしかけがあります。創作された当時の伝統的な協奏曲スタイルというより、交響曲のようでもあります。全章を通して、バイオリンの独奏がオーケストラと交わります。音を交換したり共有したりして、そこにはドラマ、瞑想、喜び、激しさ、透き通るような純粋な美があります」と解説する。
美しい会場でインスピレーション
「チャンセンターはVSOの本拠地オーフィアムとは違う音響と雰囲気があり、演奏家にとってインスピレーションを受けることのできる美しい会場です。指揮者のジェフリー・カハンさんはすばらしい音楽家と聞いていますので、共演を楽しみにしています」と公演を前にメッセージを寄せてくれた。
10月19日、20日 午後8:00開演
チャン・センター (Chan Centre for the Performing Arts, UBC)
VSOバンクーバー交響楽団 ジェフリー・カハン(指揮)
カレン五明(バイオリン)
www.vancouversymphony.ca
または電話(604) 876-3434
・かれん・ごみょう:1982年東京生まれ。ソリストとして数々の交響楽団と共演し、ヨーロッパや北米で演奏活動を続けている。使用楽器は1703年ストラディヴァリ製バイオリン『エクス・フーリス』(Ex Foulis)。
www.karengomyo.com
・指揮者ジェフリー・カハン(Jeffrey Alan Kahane):1956年米国ロサンゼルス生まれのピアニスト、指揮者。コロラドおよびサンタ・ロサ交響楽団音楽監督を経てロサンゼルス室内管弦楽団桂冠指揮者。南カリフォルニア大教授
(取材 ルイーズ阿久沢/写真提供VSO)
カレン五明さん
指揮者ジェフリー・カハン