2018年9月20日 第38号

日本の大学生がカナダへ来て弁当作りに挑戦する試みが14日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で催された。

神戸市灘区にある神戸松蔭女子学院大学の海外インターンシッププログラムで、JTBの教育機関(JEICプログラム)によって実施された。3回目になる今年のテーマは「マルチカルチャー」。

 

審査員による試食は和やかな雰囲気で行われた

 

 同大学の1、2年生10人が、9月5日から16日までホームステイをしながらバンクーバーに滞在。その間、カナダの文化や生活を学ぶために地元の市場やスーパーマーケットなどを見学するかたわら、弁当の料理に使う食材を買い求めた。  

 今回は日本を発つ直前に、台風21号により出発地の関西国際空港が被害を受けた。このため搭乗予定の飛行機が欠航して、空港のロビーで一夜を明かすことになった。結局、翌日の夕方に中部国際空港から出発し、到着が1日遅れるというハプニングに見舞われた。

 弁当作りの当日は学生たちが3チームに分かれて、バンクーバーで探し歩いた野菜や果物、魚貝類などを使い、自らが味や彩りを考えて作った。

 審査は最初に自作のスライドを使って、料理の作り方を説明する英語のプレゼンテーションが行われた。そのあとスーパーマーケットの関係者や歴史家など4人に、弁当を試食してもらった。最後に味付けや盛り付け、プレゼンテーションなど6項目が採点され、優勝チームを決めた。

 審査員は「どれもびっくりするくらいおいしかったです。味だけでなく色彩も美しかったし、発表の仕方もすばらしかった。もっともっと食べたかったです」と甲乙つけ難い内容に頭を痛めていた。

 優勝したCグループ、食物栄養学科2年の蛇山百合香(へびやまゆりか)さん、同2年の中田結菜(ゆな)さん、同1年の高橋美羽(みう)さんは「カナダは多民族国家なので、主食は押し寿司(日本)とカルフォルニアロール(米国)、キンパ(韓国式の巻き寿し)を作りました。そして大学で事前学習したイスラム料理のハラールに基づいた料理も作ってみました。また目立つプレゼンテーションも考えました」。

 準優勝のBグループ、同学科の2年の朴福美(ぽんみ)さん、同1年の前羽寧音(まえばねね)さん、都市生活学科2年の久保真莉菜(まりな)さんは「ホームステイ先でサーモン料理が出たので、それをヒントにして鮭を使って花のように見立てたのがフラワーサーモンです。またバジルと枝豆、じゃがいもを使ったクリームシュリンプは、クリーム状にする予定でしたが絞ることができず、結果的に丸めたことでうまくいきました」。

 3位のAグループ、同2年の河内谷真奈(かわちやまな)さん、食物栄養学科2年の宮本麻央(まお)さん、同1年の中村麻梨奈(まりな)さん、同1年の笹緋奈(あかな)さんは「花畑を意識したので、ミニトマトを八等分に広げた底に出汁を敷きつめ、パプリカで色付けしてチューリップの形を作りました。豆腐とケーキにチョコレートを混ぜて作ったタルトは、バレンタインデーの時にケーキが節約できないか考えていたことを思い出し、豆腐を使ってみました。食材集めは、日本の出汁などを探すのが大変でした」と、それぞれの感想を述べた。

 学生たちの引率で同行した同大学の田中あゆ子准教授は「出発時に学生たちが空港ロビーの床で一晩過ごすというハプニングもありましたが、学生たちがお互いに助け合ったことで10人が一つにまとまり、彼女たちの団結力が高まりました。バンクーバーに着いた当初は疲れもピークで、移動中の車内では眠っている姿も見られましたが徐々にペースをつかみ、グランビルアイランドや地元のスーパーマーケットなどでは楽しそうに見学していました。弁当作り自体は同じ材料も使っていたので、似たような料理ができるのではと心配しましたが、工夫しながら異なるものを作っていたのでよかったと思います」と感慨深げに語った。

 

 優勝はCグループの「世界一周弁当」、準優勝はBグループの「カラフル弁当」、3位はAグループの「お花畑」。

(取材/写真 古川透)

 

優勝の「世界一周弁当」

 

準優勝の「カラフル弁当」

 

3位の「お花畑」

 

弁当を試食する審査員ら

 

スライドを使ったプレゼンテーション

 

優勝したCグループの学生には、キッチンタオルが贈られた

 

審査員の講評を聞く学生たち

 

記念撮影する学生たちと関係者

 

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