2018年8月16日 第33号

カナダにおける邦人援護活動への貢献により、平成30年度外務大臣表彰を受賞した日加ヘルスケア協会の表彰伝達式が8月10日、在バンクーバー総領事公邸で行われた。

同協会理事やヘルスケア関係者が見守る中、代表で理事長の田中朝絵医師が岡井朝子総領事より表彰状を受け取った。

 

日加ヘルスケア協会理事のみなさん(左から)小澤祐喜さん、アンダーソン佐久間雅子さん、マッケンジー・ミナさん、根岸裕子さん、林光夫さん、田中朝絵医師、上遠野和彦さん、渡瀬容子さん、スティーブン橋本次郎さん、宮地照彦さん。(鴨脚ジェイシーさん、杉原善信医師は欠席)

 

カナダにおける邦人援護活動

 外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体についてその功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としている。

 今年度は205名の個人と49団体(うち国内在住受賞者は34名の個人、6団体。海外在住受賞者は171名の個人、43団体)が外務大臣表彰を受賞。カナダにおいては2名の個人と4団体が受賞し、ブリティッシュ・コロンビア州では日加ヘルスケア協会が、カナダにおける邦人援護活動への貢献により受賞した。

 理事長の田中朝絵医師が「日加ヘルスケア協会の設立にご協力くださった方々、会員やボランティアの皆さまのひとかたならぬご支援・ご協力のお陰です。セミナーやワークショップ開催にご支援くださっている総領事館に心より感謝しております」と代表で挨拶した。

 

日本語を話す医師不足から

 「昔、バンクーバーには日本語を話すファミリードクターが何人もいらっしゃいました。ドクター磯村、ドクター浅野、ドクター清水、ドクター堀井、ドクター・リャング、ドクター・エダムラ。そしてドクター中村がローワーメインランドで日本語を話す患者さんを診ていました。しかしながら、皆さんがほとんど同時期に定年してしまいました。なぜ日系人には日本語を話す若い医者がいないのかという大きな理由のひとつに、第二次世界大戦と日系人強制収容により、多くの親が子供たちに日本語をあえて教えなかったということが考えられます。私が1990年代にブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)の医学部にいたころには日系人は5人で、誰も日本語を話しませんでした」と田中医師。

 日本語を話すファミリードクターがいなくなってしまうという不安が、日加ヘルスケア協会設立のきっかけとなった。

 

セミナーやワークショップを開催

 設立以降、10年間に100回も医療に関する教育セッションを行い、セミナーやワークショップ、座談会、歩こう会などコミュニティーの健康増進のための取り組みをしてきた。

 2年前に設立10周年を記念し『健康ハンドブック』を作成。カナダBC州の医療制度に関する詳しい説明、緊急時の病院受診方法など有益な情報が掲載されている。

 「以前より、外務大臣表彰候補団体として日加ヘルスケア協会を推薦しておりましたところ、私の任期中に受賞が決まり、滑り込みで表彰状が届きました。皆さんとこうして喜びをわかちあうことができて、非常にうれしく思っています」と岡井総領事。『健康ハンドブック』を広めるために、総領事館が合同でセミナーを開催したり、ウェブサイトで紹介してきた。

 「みなさまの素晴らしいご活動が広がっていくことを願ってやみません」と祝辞を述べた。

 

日加ヘルスケア協会
BC州に暮らす日本語を話す人々、日系人、そしてその他の一般の人々の健康の維持・増進に役立つ活動を行うことを目的に2004年12月に発足。現在会員数は約60名。年間費は個人30ドル家族50ドル、学生・シニア25ドル。シニア家族40ドル。入会ご希望の方はThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.まで。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

 

(左から)表彰状を手にする岡井朝子総領事と日加ヘルスケア協会理事長の田中朝絵医師

 

『健康ハンドブック』

 

読者の皆様へ

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