2018年7月12日 第28号
体に音を当てる。体が変化する。音で心身を癒す専門家、松下幸訓さん(福岡県在住)が8月31日、バンクーバー・リステル・ホテルで講演を行う。日本で松下さんによる「若返り体験」をしたバンクーバー在住の有志が「ぜひカナダの人たちに紹介したい!」と企画したもの。
モーツァルトの音楽で気持ちが安らぐなど、音に心身を癒す効果があることは今や常識。しかし松下さんの音の原理を用いた施術は「癒し」のレベルに止まらない。人の能力を最大に引き出すこと、どんな年齢の人にも「二十歳の健康状態をもたらすこと」が目標だ。
音で体の健康増進を促す松下幸訓さん
音が明らかにする体の様子
不調のあるクライアントの頭に、松下さんが音の出る装置を向ける。装置は一定の音を発していたが、体から少し離した時にスピーカーから異音が出た。「これは30年くらい前に起こった怪我が原因ですね。何かが頭にこのような角度でぶつかりましたね」「確かにその頃、頭を打ったことがありますが、どうしてわかるんですか?」「これは経験からわかったこととしか言いようがないのです」そんなやりとりがセッションルームで交わされる。
音による施術のメカニズムとは
健康な体の各組織には固有な音があるという。その本来持っている音を、不調の起きている肉体の組織に聞かせて共鳴共振させる。それによって各組織は本来の振動を取り戻し、その生来の能力を発揮するのだと松下さんは説明する。
音による治療は一般には馴染みがないが、その療法の元となる原理(マナーズ原理)が発見されたのは約50年前のこと。「健康な各組織は特定の複合調和音を発していること」を知ったイギリスのピーター・ガイ・マナーズ博士が、人体の発する音について研究を重ね、数えきれない臨床実験を経て効果を確認した。では松下さんはどうやってこの音の世界を知ったのか。
自身の娘の体験から
東京電機大学応用理化学科を卒業後、渡英し、ラフバラ工科大学でサイバネティクス(人工頭脳学)と人間工学を学び、工学修士の資格を取得した。イギリスの厚生省の下で物理研究に当たる中、マナーズ博士との出会いがあった。1990年当時、松下さんの三女は先天性の股関節脱臼症を患っており、医者から治せないと見放されていたのだが、マナーズ博士の開発した音による施術を受けて、完全に普通の股関節の状態となった。同療法に魅了された松下さんは、マナーズ博士の下で施術(サイマティクス療法)を学び、日本に帰国後も研究を続け、音の精度を上げて「イーマ・サウンド」と名付けた。松下さんはマナーズ博士を知る、貴重な日本人と言える。
音が作る空間の不思議
実際、そのイーマ・サウンドによる生体調律(バイオ・チューニング)で、身体にどんな変化が起こるのか。ある女性は長年にわたって苦しめられてきた生理痛から、1回の施術で解放された。「内臓の不調は、内臓下垂が原因である場合が多いのですが、例えば子宮を切り取った方に、研究で開発された独自の音の組み合わせを聞かせることで、実際には形として存在しない子宮のスペースが確保され、内臓がそのスペースに下がってこないということが起こります」(松下さん)。盲腸を切除した患者の体に盲腸が再生された例など、一見信じがたい効果を松下さんは見てきた。だが松下さんはそれを不思議とは思わない。「我々は、生命はエネルギーでできた生命場の振動音が先にあり、それに沿って細胞が発達して臓器に、器官に、骨などになったと思っております」(松下さん)。そのため本来の組織の音を発生させていれば、そこに適切な材料が入ることで人体が再生可能なのは当然なのだという。
参加者が実践できる方法を紹介
8月31日の講演会(主催しらゆきのゆめ出版)では、イーマ・サウンドの原理がわかりやすく紹介され、参加者は音が一定の形を作る空間を生み出す様子を実際に目で見ることができる。また音や水などを使った、家庭で手軽にできる健康法も紹介される。9月13、14日には個人セッションも実施予定だ。問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.(オジャ・エム・ゴトウさん)まで。 講演会のHPはhttps://e-ma-sound.apage.jp/
(取材 平野香利/写真提供 イーマ・サウンド)
講演会では松下さんが施術のデモンストレーションも行う予定だ