2018年6月14日 第24号

リッチモンド市スティーブストンの日系コミュニティセンターで、中心的な活動をしているスティーブストン日本語学校。生徒への日本語教育はもちろん、日本文化の素晴らしさを地域の人々に発信している。 ●6月2日・3日、リッチモンド市が主催する「Doors Open」が41カ所の会場で開催され、スティーブストン地区では、日本人移民史、鮭漁の歴史的建造物、当時の日本人の生活文化なども紹介されていた。その一つの会場に日系コミュニティセンターも選ばれ、スティーブストン日本語学校スタッフも参加した。 ●6月6日には、日本語も達者になり、そして日本文化にますます興味を深めた同校7年生の卒業式が行われた。教職員、スタッフ、生徒の保護者が一丸となって活躍した模様をレポートした。

 


リッチモンド市が主催する「Doors Open」で、スティーブストン日系コミュニティセンターが人気会場に

 

昔、スティーブストンの缶詰工場で働いていたおばあちゃんたちの手芸実演。(右から)山下節子さん(88歳)、森沢さざれさん(87歳)、タバタスミコさん(93歳)、大原伸枝さん(88歳)

 

 快晴が続く6月2日と3日、リッチモンド市内にある41カ所のアート、歴史建造物、文化施設などを開放。各会場では、さまざまな移民史、民族文化を物語る展示やワークショップ、アートプログラムを実施していた。スティーブストン地区では、9カ所の会場が選ばれ、日系コミュニティセンターも、その一つ。ここで、日本語学校の教職員、ボランティアスタッフが、「和紙漉き」を実演。ハガキ大のオリジナル和紙を見学者といっしょに作り、おみやげに。また、きもの着付け、生花展示も興味を集めていた。地元のおばあちゃん4人は、使わなくなった缶詰のラベルを使ってグラスコースターなどの手芸品づくりを披露するなど、日本人の器用さ、センシティブな感覚が、見る者を驚かせていた。

 

「Doors Open」no.25 日系コミュニティセンターでの和紙の紙漉きを日本語学校の先生たちが実演した

 

「Doors Open」no.23 スティーブストン・ミュージアム内部には、日本人移民の生活ぶりを物語る展示がなされている

 


スティーブストン日本語学校学習発表会&卒業式

 

卒業生と鈴木知子校長(右端)と、担任の豊田真子先生

 

 スティーブストン日本語学校は、3、4歳児のプリスクール・クラスからシニアレベルのクラスまで充実のクラス編成。入学時の年齢や、家庭でも日常的に日本語を話す子ども、日本語を使っていない子どもに分け、夜間のアダルトクラスもある。

 計10クラスの中から子どもの事情に合わせて選択できる。すべてのクラスは、週1回授業があり、継続した勉強ができ、友だちもできやすいという。

 6月は、クラスの修了、卒業の時期であり、各クラスの学習発表会が行われた。高学年生ともなると、発表内容がぐんと高度になり、自分で調査などを行った自主学習の趣が増していた。6月5日は発表会のあと、7年生の卒業式が行われた。今年の卒業生は6名。卒業に当たっての一言コメントを各自が発表。当校での楽しかった思い出や、苦しかったこと、将来への夢などを流暢な日本語で語っていた。まさしく、この生徒たちは、バイリンガル、マルチリンガルであり、きっと国際的な場で活躍することだろう。鈴木校長の「身体に筋力をつけるように、何事にも“がんばる気持ち”でのぞめば、心にも筋力がつきます」というエールを背に巣立って行った。

 

晴れの卒業式の全景

 

(取材 笹川 守)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。