2018年3月15日 第11号
7人制ラグビー世界大会「カナダセブンズ」が3月10日、11日にバンクーバー市BCプレースで開催された。バンクーバーでの開催は今年で3回目。会場には2日間で77096人のファンが詰めかけた。 2018年カナダセブンズ優勝はフィジー。決勝でケニアを圧倒し、カナダセブンズでの初優勝を決めた。
優勝したフィジーチーム。3月11日表彰式の後で
カナダは14位に終わる
カナダセブンズ3大会で最低の順位だった。1日目の予選ラウンドでは、オーストラリアに19‐19と引き分け、アメリカに21‐28の惜敗、ウルグアイには47‐5と大勝し、予選を1勝1敗1分けと強豪グループで健闘した。しかし、オーストラリアがアメリカに勝利したため、プールAで3位となり、2日目は9‐16位決定戦へと進んだ。
2日目の第1試合、対戦相手はプールDの4位スコットランド。シーズンを通しての順位ではここまではカナダが上。ここで勝てば9位‐12位決定戦へと進出できるはずだった。しかしまさかの0‐19の無得点負け。13位以下決定戦へ回ることになった。
2試合目はフランスとの対戦。途中まで接戦だったが、終盤にカナダが2トライを決めて31‐19と勝利。13位決定戦に進んだ。
サモアとの13位決定戦は、まずはカナダが2トライを決め10‐0とリードした。しかし前半を10‐7で折り返すと後半は思いがけなく一方的な展開に。2トライを決められ10‐21。試合終了間際にヒラヤマがトライを決めるも15‐21で敗れ、14位に終わった。
バンクーバーで開催された3大会を通して、2016年は9位、2017年は7位とホームで順当に順位を上げてきたが、今回が最も低い順位となった。
個人成績では、カナダ代表日系4世ネイサン・ヒラヤマがバンクーバー大会での最高ポイント数53を獲得して、大会を通して219ポイントとし首位を維持した。
2020年東京五輪を目指して
ジョーンズ・キャプテンは、大会1日目の最終試合でアメリカがオーストラリアに負けカナダのプール3位が決まったことを振り返り、「アメリカがオーストラリアに負けた時には、ロッカールームがかなりシンとなった。みんな勝ちたいと思っているからね。でも、それは自分たちがコントロールできないこと。自分たちがコントロールできることをするしかない。正しい判断をタイミングよくすることを徹底する」と前を向いた。「トップチームというのは、小さなミスを犯さない。そういうところをしっかりとしていかないと、上にいけない」と残り4大会に向けての課題を語った。
マックグラス・ヘッドコーチは、「すごく残念。どちらかというとメンタルな問題だった。カナダはアメリカにもケニアにも勝てる力がある。上にいけるチームと、そうでないチームの差は非常に小さい。それを思うと、今日の結果はさらに残念だった」と振り返った。
しかし、目標はあくまでも2020年東京オリンピック出場という。「オリンピック出場というのは我々にとって大きな目標。今やっていることはそこに向かっていると言っても過言ではない。新しい選手を入れたり、勝ったり負けたりはするが、我々の大きな目標はオリンピック出場。そしてメダル」と語った。
セブンズシリーズは今季あと4大会、その後、今年7月にはサンフランシスコで7人制ラグビーワールドカップが開催される。そして2020年にオリンピックが控えている。
2019年以降の カナダセブンズ
カナダセブンズは2016年から3年間バンクーバーでの開催が決定し、今年が最後の年となった。しかし、ラグビーカナダは先月、カナダセブンズの4年延長申請をしたと発表した。
大勢のファンが詰めかけたバンクーバーについて、ジョーンズ・キャプテンは「この大会はいつも多くのファンが、100パーセントカナダチームを良いときも悪いときも応援してくれてうれしい。もっといい成績を残したかったが、来年以降またチャンスがあれば」と語った。
マックグラス・ヘッドコーチはバンクーバーで来年以降も開催すべき理由を聞かれると「目をつぶって声援を聞くと、よく分かるよ。これまで話した(他国の)コーチたちも同じことを言っていた。あるコーチは、ここに毎年来られたらいいと言っていた。運営も、スタジアムの雰囲気も、ここでやることに価値があると思わせてくれる」と期待した。
カナダセブンズ
カナダで開催されるワールドラグビー・セブンズシリーズ。北米地区の開催としてアメリカ・ラスベガスで第5回が開催されたあと、第6回がバンクーバー大会となる。
ワールドラグビー・セブンズシリーズとは、12月から翌年5月までの6カ月間に世界10都市で開催される7人制ラグビー世界大会。ドバイを皮切りに、ヨーロッパ、北米、アジアを回り、ロンドン大会で幕を閉じる。
各大会16チームが参加、15チームはコアチームとして全10大会に参加。1チームは招待チームとなる。2018年の招待チームはウルグアイ。
順位はポイント制。各大会の順位によりポイントを獲得。優勝チームは22ポイント。10大会総合ポイントで、シーズンの優勝を決定する。
シーズンのコアチーム15チームの上位14チームが、翌シーズンのコアチームとしての出場権を得る。最下位となったチームは、コアチームとしての翌シーズンのセブンズシリーズ参加資格を失う。かわって、香港で毎年開催されるコアチーム予選大会で優勝したチームがコアチームとして参加する。
昨年コアチームとして参加していた日本は総合15位となったため、今シーズンはコアチームとしての参加資格を失った。招待チームとしても参加していない。
カナダセブンズ女子大会
カナダセブンズ女子大会は、5月12、13日に、ブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリアに近いラングフォードで開催される。
女子のワールドラグビー・セブンズシリーズは、シーズン全6大会。12カ国が参加。11チームがコアチーム。
カナダはリオデジャネイロオリンピックで銅メダルに輝いた実力をもつ。今シーズンもここまで3位。日本も今年はコアチームとして参加している。
(取材 三島直美 写真 斉藤光一)
カナダのケイ(#10)がトライを決める。3月10日カナダ対オーストラリア
カナダのポイントゲッター、ヒラヤマ(#9)。3月10日カナダ対アメリカ
圧倒的な強さを見せたフィジー。3月10日フィジー対フランス戦
新たにカナダに合流した元CFL選手のキャンベル(#5)。3月11日カナダ対フランス戦
試合後ファンと写真を撮るヒラヤマ。試合終了後、選手たちは駆け付けたファンへ感謝を示してスタジアムを1周した。3月11日
2016年カナダセブンズ優勝チームニュージーランドは今大会アメリカに敗れて7位に沈んだ。3月11日ニュージーランド対アメリカ
2017年カナダセブンズ優勝チームイングランドは準決勝でケニアに敗れ、5位に終わった。3月11日イングランド対ケニア
現在のほぼ2強、フィジー対南アフリカが準決勝でぶつかった。3月11日
BCプレースを青く染めたフィジーファン。フィジーの完全ホームとなっていた。3月11日