今年は特に、意味のあるレセプション
日本とカナダの国旗、BC州の旗が掲揚された会場には天皇皇后両陛下のお写真が飾られ、伊藤総領事が来賓ひとりひとりに挨拶。来場者が一段落したところで、NAVコーラスとともに「君が代」「オーカナダ」を国歌斉唱した。
伊藤総領事は冒頭で、11月に風邪で入院されていた天皇陛下が退院され、公務に復帰しておられることをまず報告し「今年の天皇誕生日レセプションには特別なものがあります」と述べた。3月に起こった東日本大震災で大きな打撃を受けた日本だが、総領事館には今でもたくさんの寄付が寄せられていることを感謝し、改めてカナダと日本の強い絆に励まされたと語った。

BC州首相が応援のエール
BC州首相クリスティー・クラーク氏は天皇陛下への祝辞を述べたあと「漁師だった私の祖父は、1954年に貿易視察団のひとりとして日本に行きました」とスピーチを始めた。3月に訪日を予定しているクラーク氏は、「3月11日の大震災以来、我々も心を痛めています。今後も友好関係を深めながら、再建に向けて一緒に頑張りましょう」と力強くスピーチした。
BC州政府代表者らが鏡割り
壇上に用意された樽酒の回りにはクラーク氏に加え、多様文化担当大臣ハリー・ブロイ氏、労働・市民担当大臣マーガレット・マクディアーミッド氏、元外務・国際貿易担当大臣デビッド・エマーソン氏ほかMLAのコリン・ハンセン氏、リチャード・リー氏、ラルフ・サルタン氏、ジョーン・マッキンタイア氏、カンバーランド村よりレスリー・ベイアード村長閣下、ニューウエストミンスター市議会委員ジェイミー・マックエボイ氏、リッチモンド市議会委員ハロルド・スティーブス氏など政府代表者がJAPANと入ったはっぴを羽織って集まり、伊藤総領事とともに鏡割りに参加。天皇陛下の一層のご多幸とご健康を祈念し、今後も両国の緊密な関係が一層豊かになることを願って乾杯した。

被災地の復興を願って
東日本大震災から9カ月。今年のレセプションには天皇陛下の誕生日を祝うとともに、被災地への復興を願う思いが込められていた。
入り口ホールや場内では東北地方の写真展示やスライドショーが行われ、福島産の酒が振舞われた。公邸料理人、工藤英良(えいりょう)さんが握った手まり寿司は福岡産の米を使用。工藤さんが数週間前から準備にかかり手をかけた美しい料理の品々が、来賓に充分行き届くよう振舞われた。
後半では西川佳洋師匠による日本舞踊に続き、西川流民謡の踊りグループが着物にたすきを掛け花笠を持って『花笠音頭』を踊り、会場を盛り上がらせた。
帰り際にはJETプログラム同窓会BC支部(JETAABC)とピース・ボート・インターナショナル主催の災害と再建を記念する東北写真展『Changing Ties 潮の変化』(1月14日~3月11日、日系センター2階)のお知らせが配られ、復興への願いを更に印象づけたレセプションでもあった。

(取材 ルイーズ阿久沢)

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