寿司シェフの自分が震災復興のためにできることを
15年間寿司を握ってきたたかさんこと近江隆之さんは、今年6月から日系センターで大人対象のすし教室を開いている。「震災から日本が立ち上がるために自分にできることは何か」を問い続ける中で、今回のチャリティーでの子供すし教室の開催を決めたという。
参加のきっかけを保護者に聞いてみると「新報での広告を見て」、「友達に誘われて」のほかに、「子供が数週間前に寿司を食べて寿司作りに関心を持ったので、インターネットで検索して見つけてすぐ申し込んだ」と日系コミュニティの存在を知らなかった人の参加もあった。「今日は子供の父親の誕生日。よいギフトになれば」と一石二鳥のアイディアも。

 

寿司作りのコツをわかりやすく手際よく
クラスは手洗いから開始。板前さんらしい手のぬらし方や「玉子一つ分ご飯を手に取ってね」とたかさんから教わって、各自に用意された道具や食材を使って、みんな同時にかっぱ巻き作りからスタート! 裏巻きのえび天巻きなどは、高度なテクニックも必要だったが、スタッフのしんさん、じゅんさん、チズルさん、カオリさんによる個別の丁寧な手ほどきのおかげもあって、きれいな巻き寿司が誕生した。できた巻き寿司のカットの時は保護者の手を借りて。楽しくかつ真剣な親子の交流はほほえましいものだ。すぐにも食べたい気持ちを抑えつつ、プレートにきれいに並べて完成!その後はお楽しみの試食タイムだ。


クラスを終えて
「楽しかった」と坂本花愛(はな)ちゃん。「海苔の表裏など、わたしも勉強になりました」と花愛ちゃんの母親の如美(なおみ)さん。「難しかった?」との問いに、「まあまあだった」と答えた衣川ありさちゃんの表情からは、やり遂げた自信と満足感が伝わってきた。

企画に賛同したJFC INTERNATIONALからすべての食材とお土産を、日系センターからは会場を提供してもらった子供すし教室。できあがった寿司を食べる子供たちのうれしそうな表情を見て、「いろんな方々の協力を得て、本当に楽しい、充実した時間を過ごすことができました。来年も、このような機会を設けもっと色んな方とともに頑張っていきたいです」とたかさんも今後の活動へのエネルギーに満ちたようだ。
なおこの日の参加費140ドルと参加者からの寄付40ドルの計180ドルが日系センターの東北大震災の義援金ボックスへと納められた。


(取材 平野香利)

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