2017年12月7日 第49号

MUJIバンクーバーがロブソンストリートにオープンした。アジア以外では世界最大規模となるカナダ旗艦店。オープン当日は小雨が降る中、12月2日午前10時の開店前に待ちきれないMUJIファンが長蛇の列を作った。オープン週末2日間で約2万人が来店した。前日のプレオープニングセレモニーであいさつした岡井朝子在バンクーバー日本国総領事は開口一番「すごい」と感嘆の声をあげ、日本を離れて長いので自分自身が「体験したことないコンセプトがたくさん」と楽しそうに語った。

 

鏡割りの後の記念撮影。左から、岡井総領事、ラルストンBC州大臣、ジャン市議、不動産オーナーのチー・ワイ・クワン氏代理人マーク・ウォン氏、良品計画松﨑社長、MUJIカナダ秋田社長。2017年12月1日

 

欧州・北米で最大規模の旗艦店

 売り場面積は約1万5千平方フィート。日本・アジアを除く海外店舗の中では最大となる。無印良品を手掛ける良品計画社長松﨑曉氏は、ヨーロッパには1991年から出店しているが「これだけ大きなお店はないです」と破顔した。

 揃えている商品は4500点以上。無印良品が誇る生活雑貨や衣類、家具などの他に、新しいコンセプトも導入。世界でも限られた旗艦店でしか展開していない2005年から始まった新しいアパレルコンセプトMUJIラボ、バンクーバーに本店を置くフェアトレード・オーガニックコーヒー豆を扱うエシカル・ビーン・コーヒー社とコラボしたMUJIコーヒーカウンター、そのすぐ前には大人も子供も楽しめる本をずらりと並べたブック・スペースを設置して、コーヒーを飲みながら本を楽しめるスペースを用意している。

 さらに日本でお馴染みのMUJIユアセルフやアロマバーもあり、ゆっくりとした空間となっている。バンクーバー市議ケリー・ジャン氏は、「まるで新宿に来たみたいだ」と笑った。

 天井を取り除き吹き抜けとなっている解放感のある空間。これだけのスペースが確保できたからMUJIのコンセプトを実現できたと松﨑社長。MUJIカナダ社長秋田徹氏も「ほんとにこれだけのお店がバンクーバーにオープンできて良かった」と誇らしげな笑顔を見せた。

 当初はこれほど大きなものにする予定ではなかったという。しかし今年1月から1カ月限定で出店したポップアップストアで大盛況だったことを受け、当初の計画を変更。まずは今年8月にバーナビー市メトロタウンにメトロバンクーバー1号店を開店した。

 「メトロタウンでは開店の時に1600人以上お待ちいただいたんです」と松﨑社長。バンクーバーの人々にとってみれば「待ってました」ということだったのだろう。

 

MUJIのコンセプトがバンクーバーにフィットする

 ジャン市議は、メトロタウン店での成功はMUJIのコンセプトがバンクーバーのライフスタイルにピッタリとフィットしている証拠、世界ブランドの出店は町を盛り上げると語った。アジア系が多い人口構成や若者を中心とした購買層がバンクーバーをMUJIにとってベストな市場にしているとも。家族もMUJIファンだという同市議は「トロントより、アメリカより大きな店舗がバンクーバーに出店するとは」と笑顔を見せ、「もうアジアに行くたびにスーツケースいっぱいにMUJI商品を買ってこなくてよくなった」と笑った。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府雇用・貿易・技術大臣ブルース・ラルストン氏は、MUJIの現地企業とコラボする姿勢や木のぬくもりを演出した店内デザインなどBC州を意識したコンセプトをうれしく思うし、欧州北米最大店を出店するほどBC州での成功を確信してもらっていることに感謝したいと述べた。

 秋田社長によるとBC州での出店は、この2店舗に止まらないのだという。あいさつでは「ようやく自分の夢が叶いました」と語った秋田社長。まずはバンクーバーのファンに愛される店舗を、そして「皆さんの生活スタイルをより良いものにする手助けができればうれしい」と語った。

(取材 三島直美 / 写真 中村みゆき)

 

ブック・スペースのある広々とした空間の店内。吹き抜けとなったガラス張りの天井が開放感を演出している。

 

広い店内を見ながら会話中に笑顔を見せる松﨑社長

 

旗艦店がロブソンストリートにオープンするなんて私たちはラッキーだと笑顔を見せる岡井総領事

 

 

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