2017年11月9日 第45号

シアトル・サウンダーズFCとのプレーオフ準決勝に臨んだバンクーバー・ホワイトキャップスFC。MLSに昇格して初の準決勝進出だったが、サウンダーズの前に1ゴールも決められず敗退した。

 

この日、堅い守りを見せたホワイトキャップスのディフェンス。今季は主将を務めることが多かったDFワストン(#4)はMLS Defender of the Year候補に挙がっている。2017年10月29日、BCプレース

 

プレーオフ準々決勝

10月29日 第1戦(BCプレース:27,837)
バンクーバー・ ホワイトキャップスFC 0―0 シアトル・サウンダーズFC

11月2日 第2戦(シアトル)
バンクーバー・ ホワイトキャップスFC 0―2 シアトル・サウンダーズFC

 

「なんとか勝てる試合を」

 29日の試合終了後、ロビンソン監督は「なんとかして勝てる試合を」と語った。「それには運も必要」と。監督として、ホワイトキャップスとして、初めて臨んだプレーオフ準決勝。ホーム&アウェーで行われる第1戦はホームBCプレースの超満員のファンの前で戦った。

 ホワイトキャップスも、サウンダーズも、がっちりと守る展開に、両チームほとんどチャンスらしいチャンスがなかった。サウンダーズのチャンスと言えば前半36分。ホワイトキャップスDFワストン(#4)が、あわやオウンゴールとなるシュートを放ったくらいだった。幸いゴールバーに当たり難を逃れた。

 サウンダーズはこの日、エースのデンプシーを欠いていた。ホワイトキャップスには絶好のチャンスだった。しかしサウンダーズの壁は厚かった。

 MLS昇格前からカスケディアのライバル。一足先に昇格したサウンダーズは昨季、MLS杯優勝を成し遂げた。名実ともにチャンピオンのサウンダーズに、ホームでなんとか穴を開けたかったが、引き分けに終わった。

 第2戦はシアトルに舞台を移した。4万人のファンがサウンダーズに大声援を送る中、ほとんど防戦一方のホワイトキャップスにゴールチャンスは、ほとんどなかった。そしてサウンダーズの2点をあげたのはデンプシー。ホワイトキャップスは結局、プレーオフ準決勝で1ゴールも奪えず敗退した。

 これで今季のホワイトキャップスのシーズンが終了した。

 

来季に向けて

 シーズンが終わった瞬間から来季への準備が始動する。今季のホワイトキャップスを振り返ると、激動の1年だった。

 日系コミュニティにとっては工藤壮人選手電撃移籍から始まった。チームは3月から始まるレギュラーシーズの前の2月にはCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)チャンピオンズリーグ準々決勝で、NYレッドブルズを破り準決勝進出を果たした。

 それからレギュラーシーズンでは勝てない試合が続き、例年ならスタートダッシュなホワイトキャップスだが、今季はスロースタートとなった。

 それでも夏にMFレイナ(#29)が加入して以降、ぐんぐんと調子を上げ、9月には遂に西カンファレンス首位に。結局3位で終わったが、プレーオフ1回戦では5ー0と快勝し、プレーオフ初勝利をあげた。振り返れば長かったシーズンだが、期待より短めに幕が閉じた。

 そして、これからは来季に向けた動きが加速する。今季大活躍のFWモンテロ(#12)は、中国リーグからの1年リース、GKウーステッド(#1)、DFハーベイ(#2)もチームを離れることが濃厚。今季の快進撃を支えた選手の動きに注目が集まる。

 今季は15勝12敗7分、勝ち点52。プレーオフ準決勝進出。来季は、これ以上の成績が求められる。注目のオフシーズンとなりそうだ。

(取材 三島 直美 / 写真 斉藤 光一)

 

 

今季は7月から合流し、その活躍で一気にファンを魅了したMFレイナ(#29)。2017年10月29日、BCプレース

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。