2017年11月9日 第45号
今年帰国したJETプログラム参加者を歓迎するレセプションが、11月3日、在バンクーバー日本国総領事公邸で開かれた。今年の帰国者の33人のうち14人が出席した。JETプログラム参加者は、小中高校の英語教師のアシスタントとして従事したり、地方公共団体などで国際交流活動に従事するなどして、地域の外国語の普及と国際化の推進という役割を果たす。
JETプログラムの「J」を指で作ってポーズをとる今年帰国した参加者。前列中央は岡井朝子総領事と夫君の岡井知明氏
忘れがたい経験を共有
レセプションには、JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部(JETAABC)の理事、企友会、ジャパンフェア実行委員会、日系文化センター・博物館、日系女性企業家協会などの団体関係者、ブリティッシュ・コロンビア大学、サイモン・フレーザー大学、クワントレン工科大学、ランガラ・カレッジなどの教授や職員が出席した。
最初にJETAABC会長のタイ・ラムさんが、日本で働き始めた時よりカナダに帰国してからの方が戸惑ったと語り、同じ経験を持つ者同士のネットワーク作りは大切だとしてJETAABCへの参加を促した。続いて、今年の帰国者がそれぞれの日本滞在時の思い出を語った。勤め先の同僚教師や生徒たち、コミュニティの人たちと深く関わり、どの参加者にとっても貴重な体験となったことがわかる。その後、カナダ連邦政府外務・国際貿易省の太平洋地区局長クリスチャン・ハンセン氏が挨拶した。自身もJETプログラム参加者であり、日本は人生観を変えてくれたという。そして、カナダを離れて初めて自国をより理解することができたと語った。最後に、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、JETプログラムの参加者は、総領事館では3人が働いているほか、さまざまな企業や団体で日本とカナダをつなぐ役割を果たしてくれているとして、将来に続く日本とカナダの友好関係を祝して乾杯の音頭を取った。
JETプログラム参加者インタビュー
山形県の金山町という人口5千5百人ほどの小さな町に4年滞在したエドワード・コーさんは、地域の人たちと深いつながりを持つことができ、自分の家族のように思える友人がたくさんできたことが、もっとも思い出深いという。「自分の教えた生徒たちが、その潜在的な能力を生かして、世界に羽ばたくようになればいいなと思っています」と話す。
日本語も上手なデゼレイ・ウィティさんとオムリ・ワラクさんは、JETプログラムで知り合ったという、とても明るいフレンドリーなカップル。2人ともALT(Assistant Language Teacher)として2年間日本に滞在。広島県呉市で働いたデゼレイさんは、「大変だったのは、坂道が多かったことと、たまにカナダの家族に会いたくて寂しくなったこと」という。保健室の先生と仲良くなったそうで、来年はもしかしたらその先生がカナダに遊びに来るかもしれないので楽しみだという。茨城県水戸市で働いたオムリさんは、「周りの日本の人たちはみんな優しくて、(授業について)『問題ないよ』と言ってくれるけれど『本当に大丈夫?』と心配になったこともあった」という。人種や国籍の違いを超えて良い友達ができたことがうれしいと語った。
宮城県仙台市に6年滞在したサマンサ・ホッジソンさんは、いくつかの学校で働いたが、教師同士の雰囲気があまり良くないところもあって、気をつかって大変だったこともあると話す。しかし、子供たちに英語を教えるのは「すごく楽しかった」とのこと。JETプログラムは最長5年までなのだが、仙台市教育委員会による特別プログラム(仙台ハロー・ワールド・プラン)で、もう1年延長することができたという。今後は子供たちと関わるような仕事ができたらいいと考えているそうだ。
(取材 大島多紀子)
岡井朝子在バンクーバー日本国総領事
エドワード・コーさん
デゼレイ・ウィティさん(右)とオムリ・ワラクさん
サマンサ・ホッジソンさん