2017年10月26日 第43号

今年5月に、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市のメトロタウンモール周辺にラーメン店矢口家がオープンした。神奈川県横浜市発祥の家系(いえけい)ラーメンを提供する同店は、平塚市で20年以上前から営業しており、 このたび北米店第1号が開店ということになる。矢口家店主の矢口栄二さんと、マネージャーの森川慧矢さんに話を聞いた。

 

左から、マネージャーの森川慧矢さん、店主の矢口栄二さん、スタッフのみゆきさんん

 

メトロタウンモール内にあるスーパーストアから道を挟んで向かい側という、便利でわかりやすい場所に店舗を持つ矢口家さんですが、ここにオープンしたきっかけは? ­

—森川さん(以下敬称略)「もともと矢口さんがサーフィンが好きで、いろいろな国に行っていました。そんな中、海外に住んでみたい、本物の日本のラーメンを海外で提供したい、という夢を持つようになりました。アメリカやフランスなどを訪問しましたが、カナダという場所が気に入ったのと、周りの人たちとの縁にも恵まれ、この地で『矢口家』と『家系ラーメン』を広めていくことを決めました」

 

家系ラーメンの特徴とは?

—矢口さん(以下敬称略)「中太麺なんですが、こちらではまだ珍しい部類の麺の太さですね。スープに使われているのは豚骨と鶏ガラです。家系というと脂っこいイメージなんですが、うちのはそうでもなくて軽めですね」

 

矢口家さんのサービスの特徴は?

—矢口「品数が多くはないので、お客様の好みにはなるべく応えられるようにしています。ただ、初めて来店される場合は、矢口家のベーシックな味をお召上がりいただければと思います。その上で、もしお好みがあればオーダーする際に、麺の硬さ、スープの濃さ、鶏油の量も選んでいただけますと幸いです」

—森川「ラーメンと一緒に、おろししょうが、おろしにんにく、豆板醤、酢、コショウを無料で提供しています。お客様のお好みで味つけをカスタマイズしていただけます」

 

日本とカナダでラーメンを作ることに違いは?

—矢口「特に感じませんが、最初のうちは鶏油がなかったことが大変でした」

—森川「ラーメンにうま味を出す工夫として、鶏油も試行錯誤する中でこちらで作るようになりました。中太麺もちょうど良いものがなかなかなくて、業者さんに何度もサンプルを作ってもらい、もちもち感を大切にしたおいしい麺を作ってもらえるようにしました」

 

お客様の反応は?

—森川「初めは家系ラーメンがどれくらい受け入れられるか不安もありましたが、メトロタウン周辺には日本人経営のラーメン店がなかったことで、ダウンタウンに行かなくてもおいしいラーメンが食べられることがうれしい、といった声をいただいています」

 

お勧めメニューは?

—矢口「家系の代名詞であるしょうゆラーメンですね」

—森川「一番人気は、しょうゆベースのラーメンに長ネギ、ゆで卵、チャーシュー、ほうれん草がトッピングされた『矢口家スペシャル』です」

 

 来年初めには日本から新たにスタッフが加わる予定だという。また、当地に根づく店作りの一環として、なるべく現地での雇用を促進したいとも考えており、現在9人いるスタッフのうち6人はカナダ人スタッフだそうだ。将来的には、2号店、3号店と広げていくことも視野に入れている。英語はかなり苦手という矢口さんの、海外出店の夢をかなえる手助けをしてきた森川さんは、店がオープンした後もマネージャーとして引き続き業務を担っている。無印良品やユニクロなど、日本の企業が次々出店して注目の場所であるメトロタウンで、本格的な家系ラーメンをぜひ味わいたい。

 

矢口家 Yaguchiya Ramen
住所:4679 Kingsway, Burnaby
電話:604-620-4679
営業時間:火〜日 午前11時半〜午後3時半 午後5時半〜午後10時 月曜休み
ウェブ:http://yaguchiya-ramen.com

(取材 大島 多紀子)

 

まずは試したい、定番のしょうゆラーメン(写真提供 矢口家)

 

うま味のある辛さのスパイシーラーメン(写真提供 矢口家)

 

店内には大きな店名のロゴが

 

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