2017年10月5日 第40号

スタンレーパークの森が色付き始めた9月30日、第4回「JTB地球いきいきプロジェクト」による『外来種植物駆除』の作業が行われた。ボランティア参加者22名。駆除作業は、手こずりながらも、なぜか楽しい。額に汗しながら、黄色い声がキャーキャーと飛び交う。約3時間、ヤブの中に入り込みながら悪戦苦闘した戦果の山を前に、達成感に浸るのだった。

 

駆除作業を終え、成果の山を囲んで記念撮影

 

日頃のストレスもすっ飛んだ!

 ボランティア活動が、こんなにも楽しいものなのだろうか。残暑も残る初秋とはいえ、汗ばむほどの肉体労働ながら、まるでハイキングを楽しむかのようなノリノリの3時間あまり。ヤブの中に入り込みながら『イングリッシュ・アイビー』の蔓つるを引っ張り、根ごと引き抜く作業は、骨のおれるもの。しかし、口々に「いつもデスクに座っていて、体を使うことが少ない。こんな作業は初めての経験。でも、爽快!」「昨日まで頭痛がしていたんですが、それもいつの間にか消えていました」----

 今回のターゲットになった『イングリッシュ・アイビー』は、鑑賞用にインテリアや庭、公園などでもいたる所に見られるものだが、これが実は、外来植物で在来種の植物を駆逐してしまうほどの繁殖力をもつ、と聞いて参加者全員が驚いた。このボランティア作業のレクチャーをしてくれたのが、スタンレーパーク・エコロジーソサエティ(SPES)・コーデイネーターのKARIさん。「スタンレーパーク内には、70種類を超える外来種植物が生息しているが、中でも繁殖力が強く、100年を超える大木にも巻きついて、その巨木をも枯らしてしまうほど」と語ていた。また、このアイビーは根ごと引っこ抜いたように思えても、半年もすると、また生えてくる。それは、根に小さな球根が無数あり、その残った球根からまた生え、育つ。根絶が非常に難しい植物なのだ。

世界各地に広がる「JTB地球いきいきプロジェクト」

 このスタンレーパークでの外来種植物駆除作業は、「JTB地球いきいきプロジェクト」のバンクーバー版。JTBの顧客や地域の人、JTBグループの社員がいっしょになって観光地の清掃、植樹、環境美化などに参加し、「地域を元気に、人を笑顔にしたい」というJTBグループの社会環境活動(CRS)の一環。1985年にスタートして、フランス、オランダ、ベトナム、インドネシア、アメリカ、と世界各地に広がっている。カナダ・バンクーバーでは、今回が4年目。市民の憩いの場であり、観光客にも人気のスタンレーパークで、その自然環境を美しく保つために回数を重ねている。この外来種駆除作業は、とにかく根気のいる仕事で継続することが重要だ。

 参加者の笑顔や楽しそうな姿を見るにつけ、もっと広く知らせ、また、新しい旅のかたちとしても広まることを願わずにはいられない。このボランティア作業への参加メリットは、普段決して立ち入ることがないような森の奥へSPESコーディネーターの引率で、安全に入り、巨木に触れ、たっぷりと森林浴ができることだろう。

(取材 笹川 守)

 

熱っぽく説明するSPESコーディネーターのKARIさん

 

イングリッシュ・アイビーの密集地

 

ヤブの中にわけ入って、悪戦苦闘

 

成果を抱えて、“ドヤ!”

 

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。