2017年9月21日 第38号
日本の大学生による弁当作りのコンテストが9月15日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館であった。
世界の食文化を学びたいという学生たちの希望をもとに日本の神戸松蔭女子学院大学が、旅行会社であるJTBの教育企画(JEICプログラム)によってカナダで実施した。2回目の今年は食物栄養を学ぶ学生たちにとって身近であり、自分たちで作って食べる弁当がテーマ。題して「日本とカナダを融合させた、こだわりのお弁当作り」。
最後に全員で記念撮影
同大学によるカナダでの夏季研修で学生13人が9月5日から18日までバンクーバーでホームステイをしながら、カナダの生活や食文化を見聞きして日本との違いを学んだ。学生たちはこの間、バンクーバーの街を歩いてマーケットやレストランなどを視察して、弁当に使う食材も探した。
コンテストでは3チームに分かれ、日本のコンビニ弁当や駅弁などとカナダで得た食べ物の知識を合わせて理想の弁当を作った。できあがった3つの弁当は、地元のスーパーマーケットの店長や自然栄養士など5人によって審査され、味や食材の使い方、発表内容など5項目で採点された。
優勝したのは、スモークサーモンロールやきんぴらごぼうなどを盛り付けた「ジャパダ(ジャパンとカナダの)ベントウ」。
審査員からは「とても想像性が豊かでおいしく、独自性があるものばかりです」「アイデアや機転が効いていて、カナダと日本がうまく混ざった温かなやさしさのあるお弁当でした」「カナダの食材が、日本の伝統や料理の知恵によっておいしく生まれ変わっていました。こちらで販売してほしいくらいです」と、どれも高い評価を得ていた。
優勝したチームリーダーの穴田智代佳さん(2年生)は「甘みを出すのに砂糖の代わりにヘルシーなメープルシロップを使って、サラダにはみんなの意見でサーモンも入れました。きんぴらごぼうには、日本では見たことがないシービーンズも使っています。味だけでなく見栄えも工夫しました」と語った。
「色とりどりでかわいいモザイク弁当にしようと、カラフルな野菜を選びました。カナダにはあまりない肉巻きも入れてみました。日本では調理実習もしていたので、その時の経験も活かせたと思います」と準優勝のチームリーダーの堤明穂さん(2年)。
「カナダに来てオーガニック食品が多く販売されているのを知ったので、素材もそこにこだわってみました。ごま和えの味付けには、メープルシロップを使いました。パスタも入れてみたのですが冷めてしまうと味が変わるので、そこがむずかしいところでした」と3位となったチームのリーダー・下山舞さん(3年)は感想を述べた。
引率で同行した青谷実知代・同大学准教授は「カナダに来てからの短い期間で、学生たちがここまで素晴らしいアイデアを出して来るとは思いませんでした」と驚き、今後は「今回のプログラムは学生の評判もよかったので、来年以降も実施したいです。次回は滞在期間をもう少し延ばして地元の方に食べていただく機会を作り、どのような反応があるか見ることができればと思います」と語った。
(取材 古川 透)
コンテストに参加した学生たち
審査員を前に、手作り弁当の説明をする学生たち
学生たちに質問する審査員
手書きの説明文も用意した
弁当を試食する審査員
優勝した「ジャパダベントウ」
準優勝の「モザイクベントウ」
3位の「ボタニカルベントウ」