2017年7月20日 第29号

トロント在住のピアニスト、ジェイミー・パーカーが7月13 日から15 日までバンクーバー市内で開かれた音楽祭『サマー・ミュージック・バンクーバー』で演奏した。 この音楽祭はミュージック・イン・ザ・モーニング・コンサート・ソサエティ主催によるもので、教会堂や音楽ホールでトークやソロ演奏、ヴァイオリンとピアノデュオ、室内楽演奏などが行われた。

 

パーカー敬子さん(左)とピアニストのジェイミー・パーカー

 

パーカー家の次男

 ジェイミー・パーカーは音楽家ファミリーとして知られるパーカー家の次男。兄はピアニストのジョン・キムラ・パーカー、母は長年音楽理論を教え現在は『音楽の会』を主宰するパーカー敬子さん。ピアノ教師エドワード・パーカーを叔父に持ち、いとこにはピアニストのイアン・パーカーがいる。

 子ども時代、多いときは家に5台のピアノがあり、地下の教室で音楽を教える母、向かいの部屋や上の階では兄弟と妹がピアノの練習をしていた。

 「兄はピアノが上手で、早くから頭角を現していました。私はおとなしい性格ですしライバル意識を持ったこともなく、コンクールで競い合ったこともありません」

 現在はトロント大学ピアノ科主任教授ほか、演奏活動も続けている。

 

さわやかな朝のひととき

 朝10 時半、ダウンタウンのクライスト・チャーチ・カテドラルは約300 人以上の聴衆で埋め尽くされていた。

 ヴァイオリニスト、ベンジャミン・ボウマンとジェイミー・パーカーがベートーベンのヴァイオリン・ソナタ第5番『春』を演奏し始めると、気持ちの良い朝にぴったりの、ことりのさえずりを感じさせるような軽やかな調べが教会堂に響いた。

 終演後「久しぶりにバンクーバーで演奏できるのはうれしいですね。ウエストコーストの先住民デザインのネクタイをつけてきました」と笑顔で語った。

 

午前中のコンサート

 開催期間中は同ソサエティ創始者のジューン・ゴールドマンとジェイミー・パーカーのトーク、ブラームスのピアノ小曲、ブラームスの『F.A.E. ソナタ スケルツォ』ほか、アタッカ(Attacca)カルテットによる室内楽演奏も行われた。

 夜の外出は大変なので午前中の演奏会を好むというシニア会員が多いのも、同ソサエティが年間開催するコンサート・シリーズの特徴である。音楽監督バリー・シフマンさんは「日常の喧騒から抜け出し、特別なひとときを楽しんでいただけたら幸いです」と話している。

ミュージック・イン・ザ・モーニング・コンサート・ソサエティ
www.musicinthemorning.org

(取材 ルイーズ 阿久沢)

 

ヴァイオリニストのベンジャミン・ボウマンと共演したジェイミー・パーカー(手前)(Photo by Chris Randle)

 

約300 人以上の聴衆で満席となったダウンタウンのクライスト・チャーチ・カテドラル(Photo by Chris Randle)

 

ベートーベンのヴァイオリン・ソナタ第5番『春』について解説するジェイミー・パーカー(左)とヴァイオリニスト、ベンジャミン・ボウマン

 

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