2017年6月29日 第26号

カナダ建国150周年を記念して、国立公園管理局(パークス・カナダ)は、同管理局が管理する国立公園(47カ所)、国定史跡(168カ所)、国立海洋保護区(4カ所)の入場料を今年いっぱいまで無料で提供している。夏も本番に入りアウトドアに最適な気候に恵まれたBC州に住んでいるだけに、この機会を利用して、国立公園管理局の勧める公園や史跡に訪れてみるのはどうだろうか。本紙ではBC州に数ある人気スポットから、4カ所を紹介する。カナダ建国150周年を、より身近に、より特別なものにしよう!

 

陸・海・文化の3つの分野が楽しめるグアイ・ハアナス (Photos: Parks Canada)

 

ディスカバリーパス(無料)

 まずはディスカバリーパスをゲットしたい。このパス一枚あれば、国立公園管理局が管理する国立公園、国定史跡、国立海洋保護区へ無料でアクセスできる。ひと家族につきパス一枚。有効期限は2017年の12月31日までとなっている。MECやCIBCのすべてのロケーションで直接入手可能。またビジターセンターでも配布している。インターネットでも注文可能だが、郵送され手元に届くまで時間がかかる。州や町が運営する公園等は、対象外となるので、出発前に下記のウェブサイトで確認を。

ディスカバリーパスに関する情報
http://www.commandesparcs-parksorders.ca/webapp/wcs/stores/servlet/en/parksb2c

 

 

フォートラングレー国定史跡
(Fort Langley National Historic Site)

 BC州発祥の地として知られるフォートラングレー。ここに訪れると1800年代にタイムトリップした気分になる。当時、毛皮交易の全盛期を迎えたハドソン湾会社は、イギリスの交易ルートとして使用していたフレイザー川の堤防に、このフォートラングレーを築く。当時のセッティングのもと、毛皮交易商たちや、カリフォルニアから一攫千金を目指してゴールドラッシュの波に乗ってきた探鉱者など、さまざまな人たちと触れ合いながら、当時の様子が学べることだろう。またoTENTikと呼ばれる6人用のキャビンもあり、宿泊(一泊120ドル)も可能だ。本キャビンは5つあり、10月中頃までオープン。予約に関してはウェブサイトを参照のこと。

reservation.pc.gc.ca

Fort Langley National Historic Site
23433 Mavis Ave, Langley, BC V1M 2R5
開館時間:10am〜5pm

 

フォートラングレー国定史跡に訪れると1800年代にタイムトリップした気分になるFort Langley National Historic Site (Credit: Michael Bolland)

 

 

ジョージア湾缶詰工場
(Gulf of Georgia Cannery National Historic Site)

 1890年代のスティーブストンは鮭漁と缶詰加工が主な産業であり、日本人や先住民、中国人やヨーロッパ人などが、漁師や缶詰工場労働者として、夏を中心に集まっていたという。1894年までに、ジョージア湾缶詰工場は、BC州で一番大きい缶詰工場となり、今では国定史跡として、当時の鮭の捕獲から缶詰の仕方など水産業の歴史を学べる機会を提供している。またここは、ティーンに人気のバンパイア映画「Twilight」 の撮影場所にもなった。ファンなら一度は訪問してみたいスポットだろう。

Gulf of Georgia Cannery National Historic Site
12138 Fourth Ave, Richmond, BC V7E 3J1
開館時間:10am〜5pm

 

1894年までにBC州で一番大きい缶詰工場となったジョージア湾缶詰工場Gulf of Georgia Cannery National Historic Site (Credit: Kelly Jill)

 

 

パシフィックリム国立公園保護区
(Pacific Rim National Park Reserve)

 バンクーバー島の西海岸に位置するパシフィックリム国立公園保護区。 北部のロングビーチ、南部のウェスト・コースト・トレイル、そして100以上もの島からなるブロークン諸島の3つの地域から形成される。なかでもトフィーノからユクルーレットを結ぶ11キロの白浜のロングビーチは有名で、サーフィンでも馴染みが深い場所だ。また全長75キロのウェスト・コースト・トレイルは、「一生に一度は挑戦してみたい」と、アウトドアが盛んなBC州では頻繁に話題にあがるハイキングコース。ゴールするのに1週間ほどかかり、テントや1週間分の食料品を背負ってのハイキングは、一生忘れられない経験となるだろう。ブロークン諸島は、ボートやカヤックなど船路のみでアクセスが可能だ。宿泊はキャンプがメインとなるが、100以上ある島のうち、6つの島のみでキャンプが可能だというので、人の出入りが多いこれからの時期は、しっかりと前調べをしてから出発することをお勧めする。

●アクセス
バンクーバーからだと、ホースシューベイあるいはツワッセンでフェリーに乗ってバンクーバー島へ。そこからパシフィックリム国立公園保護区へ車など陸路でアクセス可能。

 

パシフィックリム国立公園保護区Pacific Rim National Park Reserve (Credit: Josh McCulloch)

 

 

グアイ・ハアナス国立公園、国立海洋保護区、ハイダ遺産区(ハイダ・グアイ諸島/旧クイーン・シャーロット・アイランド)
(Gwaii Haanas National Park Reserve, National Marine Conservation Area Reserve, and Haida Heritage Site)

 約150の島々から形成されるハイダ・グアイ諸島。アラスカとの国境近くにあり、7000年以上も前からハイダ族が住んでいたといわれている。この諸島にはハイダ族の芸術や廃屋などが残り、そのなかでもトーテムポールは有名だ。国立公園管理局が管理しているのは、ハイダ・グアイ諸島の南部にあるグアイ・ハアナス国立公園、国立海洋保護区、ハイダ遺産区(以下グアイ・ハアナス)。この地域には、陸路ではアクセスできないので、ボート、カヤック、ゾディアック、ヘリコプターなどの手段でアクセスとなる。

 歴史あるハイダの島々をボートで回ったり、カヤックやカヌーでクジラなどの海洋動物に遭遇したり、フィッシングに挑戦したり、また温帯雨林の自然のなかをハイキングしたりなど、限りないアクティビティーのオプションがある。特に、無人島スカングワイにある廃村ニンスティンツには、当時建てられたトーテンポール群が朽ち果てた状態で今も立っている。ユネスコ世界遺産としても登録されているので、ここに来たからには見ておきたい。

●アクセス
バンクーバーからハイダ・グアイ諸島に行くには、船路と空路のオプションがある。船路の場合は、まずはプリンス・ルパートへ行き、そこからフェリーでスキッドゲート(ハイダ・グアイ諸島)へ。空路の場合はエア・カナダ航空のバンクーバー–サンドスピット(ハイダ・グアイ諸島)便や、パシフィック・コースタル航空のバンクーバー–マセット(ハイダ・グアイ諸島)便となる。飛行時間は2時間15分程度。

 

グアイ・ハアナスで温帯雨林の自然のなかをハイキング(Credit: Brady Yu)

 

無人島スカングワイにある廃村二ンスティンツ。トーテムポール群が朽ち果てた状態で今も立っている(Credit: Brady Yu)

 

(取材 小林昌子/ 写真提供 Parks Canada )

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。