2017年7月6日 第27号

神輿などを通して日本文化をカナダに紹介することを目的とする晩香坡櫻會(以下櫻會)に、神奈川県茅ケ崎市の神輿職人の中里康則さんが湘南神輿を寄贈した。7月1日、その神輿の譲渡式とお披露目が、バンクーバー市ダウンタウンのサンセットビーチで催された。

 

岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(中央)。右から清野健二さん、中里康則さん、生田目謙さん

 

湘南神輿、初のお目見え

 好天に恵まれた当日、櫻會の生田目謙さんの司会で譲渡式が行われた。最初に岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が挨拶をし、「櫻會のみなさんにはこれからも日本の文化を伝える役割を担ってほしいし、茅ケ崎のみなさんにも引き続き、こうした交流を広げていっていただきたいと思います」と述べた。続いて茅ケ崎市の服部信明市長から届いた手紙を生田目さんが代読した。そして、茅ケ崎市下町屋神明神社宮総代の小島民久さん、JC茅ケ崎青年会議所の山田博之さんが、それぞれ挨拶、横浜市の信睦會會長の原岡誠さんが乾杯の音頭を取った。その後、神輿を制作した神輿康代表の中里康則さんから、櫻會へ神輿譲渡の目録が、櫻會から中里さんへは感謝状が進呈された。最後に、中里さんと櫻會代表清野健二さんがそれぞれ挨拶した。中里さんは、この神輿の制作にあたって家族や周りの人たちの多大なる協力に感謝するとともに、人と人とのつながりや熱い思いが伝わることの素晴らしさを感じたと述べた。今回、神輿をバンクーバーに持ってくるまでに、さまざまな課題をクリアしていった清野さんと中里さんは、この日を迎えて感無量といった気持ちだったに違いない。

 

日本から16人が来加

 この式典及び、7月2日のカナダデーパレードに参加するために日本から訪れた人たちに話を聞いた。JC茅ケ崎青年会議所の山田博之さんは、「中里さんとは青年会議所の事業を通して、日本の文化を広めるということで知り合い、中里さんの熱い思いに賛同して参加しました。これをきっかけに、この地の活性化に関われるようなことができたらいいと思っています」と語った。信睦會の原岡誠さんは、「(この神輿は)日本で出しても全然恥ずかしくない立派なものです。ここの人たちに楽しんでもらえるよう、多少サポートができればという気持ちです。少しでも神輿の文化に触れてもらえたら、日本人としてはうれしいことですよね」と話す。神明神社宮総代の小島民久さんは、「バンクーバーには、日本の方たちがおおぜい移住していると聞いていますし、安全で素晴らしいところだと思います。こうやって日本の文化を通して交流できるということは日本人として幸せでございます」と語ってくれた。

 

熱い担ぎを披露

 櫻會代表の清野健二さんは「友好の神輿に多くの応援をいただき感謝いたします。この神輿を完成させるために、私たちはみなさま方と共に歩んで参ります。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします」と、これからの抱負を語った。   式典後は、7月2日に行われるダウンタウンでのカナダデーパレードの予行練習も兼ねて、櫻會と日本から訪れた担ぎ手が神輿を担いでお披露目をした。一行は芝生のエリアを抜けて砂浜まで担ぎを続けた。茅ケ崎市の「浜降祭」では39基の神輿が海岸に集まることから、海を渡ってバンクーバーにやってきた湘南神輿も、ぜひ海辺で担ぎたいという関係者の熱意が叶ったといえる。カナダデーの祝賀ムードを一層盛り上げる掛け声と神輿を担ぐ姿は、ビーチを訪れていた人たちの目をひき、写真を撮ったり、興味を持って問いかけてくる人が多数見られた。

(取材 大島多紀子)

 

日本から訪れた方たちと、晩香坡櫻會のメンバー、ボランティアの方たち

 

海辺にまで降りてきた神輿は注目の的に

 

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