2017年5月18日 第20号
池坊、華道すみ、山月流、草月流より43 点
晴天に恵まれた5月6日、バンクーバー生け花協会(VIA)主催『春の生け花展』がブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市のアラン・エモット・センターで開かれた。 岡井朝子在バンクーバー日本国総領事と夫君の知明氏を主賓に迎えた開会式には関係者ら約40 人が出席。リボンカットのあと、43 点の作品が一般公開された。
開会式でリボンカットをしたみなさん。(左から)VIA 創始者のボイコット清子さん、岡井知明氏、岡井朝子総領事、VIA 創始者の角澪潮さん、池坊代表マーサ番野さん
設立52 年
約1年前に当地に赴任した岡井朝子総領事にとって、昨年の生け花展が初めての公式行事出席だった。
昨年12 月に行われた天皇誕生日祝賀レセプションでは、壇上に置かれたフロアーサイズの大きなフラワーアレンジメントが好評だったと述べ「伝統を守り日本文化の普及に努めている皆さんに感謝し、この展示会のご成功をお祈りします」とスピーチした。その後、展示作品を一点ずつ丁寧に見て回り、会員らと歓談した。
VIA は今年で設立52 年。会長の山本久仁子さんによると会員数は約80 人だが、高齢化が目立つ中、新会員を募集しているとのこと。
花は生きているからおもしろい
会場内に展示されたのは池坊、華道すみ、山月流、草月流より全43 点。花器や籠、花を支える付属品ほか、大きな枝などを持ち込むのが一苦労だという。前日の午後から夜にかけて会場内の設営と生け込みが行われたそうだが、会場内の温度によって花の状態が変わるのは避けられない事実。
「昨日、堅いつぼみだったものは今日になってほどよく開きました。逆に、1日置いて開き過ぎてしまったユリやチューリップなど、今朝挿し替えたものもあります。相手が生きているからこそ、お花はおもしろいのです」と華道すみの山崎理潮さん。
各流派の特徴を生かして
1時半と3時半に行われたデモンストレーションには、たくさんの人が見学した。
どの流派も庭に咲いたチューリップ、ハナミズキの枝、つつじなど同じような素材を用いたが、仕上がった作品からはまったく違う印象を受ける。そのため各流派の違いや何年お稽古するのかなど、見学者から活発な質問が出た。
会員の中には花を生けるために陶芸を始めた人や、作品にあわせて俳句を作る人などもいるという。山月流のジョーン・フェアーズさんは「各流派の特徴を理解した上で、自分の好きなスタイルを見つけてお稽古を始めてください」と話している。
(取材 ルイーズ阿久沢)
「素材を自然な形で生けることを大切にしています」と話す山月流のジョーン・フェアーズさん(左)と岡井朝子総領事(右)
草月流のホリス・ホーさんから説明を受ける岡井朝子総領事
花器を選ぶのも大切な要素。竹の花器を使った二重生け。手前は銅の花器
大活躍の庭のチューリップ。茎の長さを調整したり花器を使いわけることによって違った印象を受ける