2017年4月13日 第15号
青空に応えて桜が咲き始めた4月2日、ギャリー・ポイント・パーク(ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市スティーブストン所在)を訪れた人たちは、記念すべき第1回リッチモンド桜祭りを大いに楽しんだ。
ようやく花開き始めたギャリー・ポイント・パークの桜
リッチモンド市とBC州和歌山県人会の深い絆で
「これほどの数の桜が一カ所に集まっているエリアは、桜多きローワーメインランドといえども、ここギャリー・ポイント・パーク以外にありません」(BC州和歌山県人会・田中ジムさん)。同県人会は、この公園に咲く255本のアケボノ桜の木を12年越しで植樹。この桜を主人公として、田中ジムさんと平野千代子さんが中心になって、カナダ建国150年に合わせ、市の協賛を受けて桜を祝うイベント「リッチモンド桜祭り」を開催した。
太鼓のエネルギッシュな演奏で始まった開会式にはリッチモンド市の市長のほか、市議会議員たち6人も列席。マルコム・ブロディ市長は「雪も降った長い冬を経て、ようやく春を楽しめる季節となった。この公園の桜、そして、この祭りはリッチモンド市と和歌山県人会の深い交流の証。長年同県人会が市やコミュニティに貢献してきた証である」と力強く言葉を述べ、祭りの開催を祝った。
活気ある催しに多数の観衆
公園入り口に設営されたテント会場では、浄土真太鼓の演奏、日本舞踊の辰巳会、ダンササイズによる舞踊、赤城佳世子さん、福田辰平さんの歌唱の披露により、華やかで明るいステージが展開された。またスティーブストンの裏千家茶道からの抹茶のサービスや、書道家・藤木房子さんの書のデモとカードのプレゼント、スティーブストン日本語学校による着付け、盆栽、タケヤ寿司の弁当販売のほか、同県人会から提供の和菓子とお茶のサービスが実施され、それぞれに人気を呼び、人が絶えなかった。
桜祭り開催に寄せる思い
同公園内への工野庭園の建設、そして255本の桜の木の植樹。環境美化への貢献でリッチモンド市から表彰され、3月27日を「和歌山県人会の日」と制定を受けるほど、同県人会は市と深い交流を続けてきた。今回の桜祭りへの思いを田中ジムさんはこう語る。「この祭りがコミュニティのイベントに形を変えていき、リッチモンド市民やここを訪れる人たちに、この桜の木を積極的に楽しむ機会の創出につながれば。そして255本のアケボノ桜が後世への遺産として受け継がれることを期待している」。植樹の形にとどまらず、しっかりと地域に深く根を張るようにとの志を、多くの笑顔のボランティアが支えていた。
(取材 平野 香利)
スティーブストン仏教会の太鼓グループ・浄土真太鼓の演奏でオープニングが活気づいた
リッチモンド市長マルコム・ブロディ氏がBC州和歌山県人会の同市への貢献を称え、祭りを祝った
林栄造BC州和歌山県人会会長が桜のありがたみに触れながら挨拶
春と桜をテーマにした踊りを披露した辰巳会
スティーブストン日本語学校の着付けコーナーも人気
オラーマックレー真理枝さんが茶道を披露し、抹茶をサービス
寿司や弁当の販売で花見文化の紹介に一役買ったタケヤ寿司