2017年4月6日 第14号

念願の日本遠征初勝利を報告した。3月30日、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事主催で開かれた「新朝日ベースボールチーム日本遠征報告会」。この日、総領事公邸には、遠征に参加した選手、監督・コーチ、そして両親たちも集まり、うれしい初勝利と5勝4敗と勝ち越した遠征結果を報告した。

それでも一番の成果は、野球を通した国際交流。日本を訪問するのは初めてという選手たちも多く、言葉が通じなくても『野球』という共通語でグラウンド内外で交流を深めた。

チームは3月9日にバンクーバーを出発、天理(奈良)、京都、大府(愛知)、横浜を訪問、全9試合をこなし、3月27日に帰国した。

 

公邸で岡井総領事を囲んで選手、コーチが記念撮影(3月30日)

 

「選手たちがいつも笑顔で楽しんでくれたのがなにより」

 新朝日チームの日本遠征は2015年の第1回から今回は2回目。前回は残念ながら白星を飾ることは一度もなかった。今度こそ、まずは初勝利。そうして臨んだ第2回日本遠征だった。

 出発する前、チームは、猪いのまた亦功あつのり憲監督をはじめ4人が総領事館に岡井総領事を表敬訪問。朝日の名前に恥じない野球と初勝利を目標に、選手たちが遠征を楽しんでくれることを一番に、遠征に行ってきますと報告した。その時、総領事から「帰ってきたら、ぜひ報告会を」と約束されていた。

 そして実現した今回の報告会。岡井総領事は「お帰りなさい」と笑顔で選手たち一行を迎え、「勝ち越し」で終えた選手たちの活躍を称えた。出発前に話を聞いて、「すごく興味をそそられました。それで帰ってきたら、ぜひ報告してもらいたいと思い、この会を開きました」。これからも、こうした交流が続きますようにと今後の活躍も期待した。

 猪亦監督は、「子供たちがいつも笑顔で遠征を楽しんでくれたことがなにより」とあいさつ。会を催してくれた岡井総領事、そして遠征を安全に楽しく実現してくれた両親と支援者に感謝した。

 

「すごくいい経験だった」

 猪いのまた亦慶よしき希主将に初勝利の瞬間を聞くと「やった〜って感じです」と笑顔が弾けた。前回遠征では最年少で参加、出場機会もなく、白星なし。今回は主将。まずは初勝利が目標だった。そして京都で3勝、横浜で2勝。今回は野球以外でも、いろいろな経験をして「前のトリップより良かったです」と笑った。印象に残ったのは横浜スタジアムでの試合。「すごいでかいです。打つ時にスクリーンに(自分が)映って」とプロ選手のような体験に興奮したようだった。

 それはジャック・ヤレムコ選手も同じ。「スタジアムで投げて、打って。スタジアムの大きさとか、もうすごくいい経験だった」と圧倒されていた。日本は初めて。チームでは日系人ではないカナダ人選手が2人参加したが、ヤレムコ選手はその一人。監督に名前を呼ばれると「はい」と日本語で応え、笑った。何もかもが初めての日本。文化、街の雰囲気、人、全てがカナダと違う、「すごく忙しいし、すごくエキサイティング」。野球も違う。日本の選手は体は大きくないが、野球をよく知っているし、技術も高くて堅実。「すごく勉強になった、カナダでも、できることは実践したい」と収穫のある遠征だったようだ。

 おそらく選手全員がそうだろう。猪亦監督もそれを願っている。練習中に大きな声を出すとか、技術的に細かく指導してくれるとかは、日本の野球独特。そうした体験を「持って帰って、こっちでもやってもらいたいです。そのために朝日があると思うので」。それをカナダで見られればうれしいと語った。

 今回の遠征では野球を通してのグラウンド外での交流も多かった。それが何よりの収穫という。カナダにはない大型野球用品店、伏見桃山城を望むグランドでの野球、立命館中学校訪問、餅つき、ナゴヤドームでの野球観戦、海外移住資料館訪問、元朝日選手の家族との面会、と野球以外でも収穫の多い日加交流遠征となった。

 次の遠征は2年後の2019年。12歳から16歳くらいまでを対象としているため、今回の主力メンバーは遠征チーム卒業となる。しかし、次の主力の芽はもう出てきているようだ。

 

 今回の遠征の様子は、新朝日ベースボールチームのフェイスブックに掲載されている。
https://www.facebook.com/asahi.baseball.vancouver/

 

今回参加した選手 ロッド・ベトニオ、ブレイク・ダラ・ザナ、ヨシキ・イノマタ(主将)、カズ・カダ(副主将)、ショウ・カサハラ、ジョシュワ・マツイ、ダスティン・マックエルワイン(副主将:試合のため報告会欠席)、リョウマ・ナガトモ、ヒロキ・サトウ、ライアン・ショウジ、ジョセフ・シンクレア、ケニー・スギ、モンタロ・ウエヤマ、ヒロ・ヤマモト(副主将)、ジャック・ヤレムコ(順不同) 監督・コーチ アツノリ・イノマタ(監督)、トミオ・フクムラ、ラス・カダ、ジョン・ウォン

(取材 三島 直美)

 

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