2017年3月30日 第13号
例年、糸東流空手道正晃会は、2月の最終水曜日に行われている「ピンクシャツデー」に、CANADA日本武道振興会として参加してきたが、今年は、独自に3月25日に実施した。場所は、バンクーバーのキャンビーストリートと45thアベニュー近くのPeretz Centerにある糸東流空手道正晃会の道場。 40人を超える子供の部の練習生の参加があり、ピンク色のシャツを着てイジメ問題について話し合ったり、セルフディフェンス、形、組手などの練習を行った。
練習の前にイジメについて子供クラスのみんなで話し合った
いっこうに止む気配のない『イジメ問題』 最近、日本の小学校で起きた事件は、あまりにも衝撃的だ
イジメ問題は、世界中にあってやむ気配もなく、ますます深刻さを増すようだ。最近のニュースでも報道されているが、福島の原発事故で横浜市に自主避難している小学生が、同級生から「菌」(放射能)がついているというイジメを受けた。しかも、「賠償金があるだろう」と遊ぶ金を求め続けられたという。イジメが自殺につながった例もニュースになっている。また、最近の特徴として、直接的な暴力や嫌がらせなどの他、無視やネットによる陰湿なイジメも増加しているという。いっこうにやむ気配もなく絶望感さえ漂うが、あきらめては終わりだ。特効薬はないかもしれないが、少しでもブレーキをかけるよう努力しなければならない。その象徴のような運動が、2007年カナダ・ノバスコシア州の高校で発祥した「ピンクシャツデー」。この運動は、いまや世界70カ国以上に広がり、毎年、2月の最終水曜日に実施されている。
糸東流空手道正晃会の佐藤明師範は、その「STOP BULLYING」運動に共鳴し、他の日本武道の剣道、柔道、合気道、少林寺拳法の指導者とともにピンクシャツデーに参加するとともに、各道場で研修も行って関心を高めてきた。その道場に通う子どもたちのキラキラした目や礼儀、やさしさを見ると、ここではイジメ問題も無縁のものとさえ思われる。
イジメる者も、イジメられる方も悲惨なのだから 両者とも『薬物』に手を出すケースが多いという
もちろん、イジメの被害者が悲惨であることはいうまでもないが、加害者もその記憶は永遠に消えることがなく、重荷となり、そこからの逃避のために『薬物』に手を出すケースもみられるという。日本武道に参加している人のなかには警察関係者も多く、警鐘を鳴らしている。
イジメは、冗談や悪ふざけ、からかいなど、友達どうしの日常から発展している場合も多いという。当初は、悪意がなかったケースなどもあり、見過ごしてしまいがちで、学校での指導もタイミングを逸していることもある。また、親や先生に相談しにくい面もあり、悪化してしまっているケースも多い。
『イジメの悪魔』から身をまもるために、心と体を鍛えよう!
もし、イジメにあっていたら、日本武道の道場に行って気軽に相談してみてはどうだろう。その解決策の相談にものってくれるし、道場で気合の声を上げて汗を流せば、モヤモヤも吹き飛び気分も爽快になるはずだ。
日本武道には、セルフディフェンスの技術もあり、その技を身につければ、暴力への対応もできる。また、自信が生まれると、相手に対し、やさしくなれる。心と体を鍛えることのできる場所なのだ。
(取材 笹川 守)
佐藤師範の手とり足とりの直接指導もある(ジャスティン君)
おねえさん(スザンナ先生)も真剣に、やさしく教えてくれる