2017年2月23日 第8号

2月16日、在外公館長表彰式が在バンクーバー日本国総領事公邸で行われた。在留邦人及び日系コミュニティに対する献身的な活動と功績を称え、弁護士のゲーリー・マトソン氏に在外公館長表彰が授与された。

 

岡井朝子総領事(左から2人目)、ゲーリー・マトソン氏(同3人目)。(前列左より)岡井知明氏、2人おいてマトソン信子夫人。後列、マトソン氏のお子さんユウジさんとリサさん。もう1人の娘さんのモナさんは外国滞在中で残念ながら欠席

 

日系コミュニティに貢献

 在外公館長表彰は、日本と諸外国との相互理解と友好親善に寄与し、顕著な功績を積んできた人々に、現地に駐在する公館長から授与される。今回の式典では岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、長年にわたって日系コミュニティへ貢献し、日本とカナダの相互理解を促進してきたマトソン氏の功績を称え表彰状を授与した。

 マトソン氏が日本に興味を持ったのは、1968年ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)に入学し、アジア研究を専攻したことがきっかけだという。UBC を卒業後、日本の文部省の奨学金を得て広島大学に研究生として留学し、日本の文化や文学等に親しむと共に、日本語も会話のみならず読み書きも堪能になった。カナダに戻ってからは、UBC で現代日本文学の修士課程を修了。その後UBC で法律学を修了し、1986年以来バンクーバーで弁護士として活躍している。企友会顧問弁護士でもあり、2013年には同会から日系企業を長年支えてきたことへの功労賞を授与されている。2006年より、在バンクーバー日本国総領事館の顧問弁護士も務めている。ビジネス関連以外の日系コミュニティとも深く関わりを持っており、過去には木曜会会長、隣組理事長、日加商工会議所会長、グレーター・バンクーバー日系市民協会(JCCA)会長を務めた。現在も JCCA理事として名を連ねるほか、日本の伝統的な舞踏をバンクーバーに紹介するトモエ・アーツの理事も務めている。

 

日本への興味が世界を広げた

 マトソン氏はスピーチで、これまでさまざまな活動に関わってこられたのも、在留邦人や日系人の人たちのおかげであるとして謝辞を述べると共に、信子夫人や3人のお子さんのサポートにも感謝の意を表した。UBCにおいてアジア研究学で学位を取得し、広島大学での貴重な留学体験を経て、カナダに帰ってきて、どの職業につくか考えたときに、大学の恩師からMBAか法律学を修得することを勧められたという。以前、自分の兄弟に教師か牧師のどちらかしか向いていないのではと言われたという。結局そのどちらにもならず弁護士の道を進んだが、この3つの職業は人と言葉を介して関わる仕事という共通点があると思っている。人と関わることが好きという気持ちが、さまざまな日系コミュニティとのかかわりを持つことへの原動力となっていると語った。

 続いて祝辞を述べたゴードン門田氏は、ビジネス、文化関連と多様な団体において、この表彰式の場では紹介しきれないほどの功績をマトソン氏が成し遂げているとし、その多大なる貢献を称えて、乾杯の音頭を取った。門田氏がスピーチの中で、マトソン氏がいつも笑顔で人と対するので、「怒らせようとしてみたこともあるが、全然ダメだった」と冗談めかして言った。それを受けてか、写真撮影のときには、どこからか「怒った顔して」と声がかかって会場の笑いを誘っていた。マトソン氏のフレンドリーで気さくな人柄から多くの人に親しみを持たれていることがよく分かる。表彰式には家族、友人、日系コミュニティ団体の代表者など30人が参加した。その後の祝賀会でも笑い声のたえない和やかな雰囲気が満ちあふれていた。

(取材 大島 多紀子)

 

岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(左)とゲーリー・マトソン氏

 

ゲーリー・マトソン氏

 

祝辞を述べ乾杯の音頭を 取るゴードン門田氏

 

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