2016年12月15日 第51号

12月23日に83 歳を迎える明仁天皇。その誕生日に先立ち、在バンクーバー日本国総領事主催による恒例の天皇誕生日祝賀レセプションが12月12日、バンクーバー市のウェスティン・ベイショア・ホテルで行われ、BC州大臣や政府関係者、各国の総領事、日加のビジネス、教育、文化、芸術、日系団体関係者、約450人が出席した。

 

クリスティ・クラークBC州首相の代理でスピーチを行うスーザン・アントンBC州法務大臣(左)と岡井朝子総領事(写真 斉藤光一)

 

多分野にわたる日本とカナダの緊密な関係を紹介

 来客を出迎えた音楽はロビーでのハープ演奏、ステージでの琴と尺八の演奏。会の冒頭では紅白の衣装のNAVコーラスが日本とカナダの国歌を斉唱した後、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が壇上に上がり、以下のような内容に触れてスピーチを行った。

 今年も日加間、日本とブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)との間で、5月のトルドー首相のG7伊勢志摩サミットへの出席やクラークBC州首相の訪日等トップ交流があった。

 2020年の東京オリンピックまでに安倍政権の日本再興戦略は新しい市場創設を目指しており、BC州と日本双方に様々なビジネスチャンスをもたらす。日本にとってカナダは、木材、小麦などの食品、ウラニウムなどの鉱物資源の主要な供給国であり、それらはBC州を通じて日本に輸入されているが、これらに加えて、今後はBC州で目覚ましい伸びを見せるテクノロジー、グリーン経済、デジタル産業の分野での日本との相互協力関係が進むことを期待する旨を語った。

 今年、BC州を訪問した日本人の数、訪日カナダ人の数が上昇。日本政府は2020年までに訪日外国人観光客を2000万人から4000万人に倍増させる目標を掲げると同時に、海外への留学生、海外からの留学生もその数を倍増させる計画である。そのためBC州の教育機関は英語教育を中心に今後ますます日本人にとって重要な役割となることを示唆した。

 現在BC州とユーコン州を合わせて日系カナダ人が4万5000人、在留日本人は3万5000人在留。岡井総領事は今年当地に着任以来、各地を訪問し人々と交流する中で、日系移民が多民族文化の国カナダの構築に重要な役割を果たしてきたことや、多分野において日本への造詣の深い多くの人々の存在を知り、大いに感銘を受けたことに触れた。最後にカナダが建国150年を迎える2017年は、日加両国の関係がより強く結ばれる機会になるだろうと期待を込めて語った。

 続いて主賓のスーザン・アントンBC州法務大臣がクリスティ・クラークBC州首相の代理として挨拶。大臣は2015年、BC州への日本人観光客は10万7000人に上り、前年度から7パーセント上昇したことなどを紹介し、太平洋地域の玄関口である日加両国の関係をより深めていきたい旨を語った。次にナオミ・ヤマモトBC州緊急事態対応州務大臣がクリスティ・クラークBC州首相からのメッセージを代読。その後、ロバート・バンノ氏が乾杯の音頭を取り、宴のひとときとなった。

 

日本の物産品や観光地、日系企業団体を積極的に紹介

 会場ロビーにぐるりと設けられたテーブルでは、ANA、HIS、アズマフーズやキャナドゥなど、多業種にわたる日系企業が商品やサービスを、そして大分県や和歌山市からも地域を紹介する展示が行われた。

 会場内では、実際の飲食サービスをかねての企業紹介があり、酒楽、炙りなどの当地の日本食レストランによる目にも舌にもうれしい料理のほか、数々の日本酒、日本茶のサービスもあった。和の空間作りには生け花も一役買っていた。

 「いろんなレストランの味が楽しめてよい」、「日本の産業や日系企業をローカルに紹介するとてもいい催し」と、今年の趣向が例年以上の好感を持って日系人の参加者に受け止められていた。セネガルの名誉領事のデビッド・バーティ夫妻は「日本式の温かいホスピタリティを堪能することができた。とても素晴らしい会だった」と喜びの表情を見せた。 

(取材 平野 香利)

 

裏千家バンクーバー淡交会の茶道のデモンストレーションと呈茶(ていちゃ)により、抹茶を味わう場も設けられた(写真 斉藤光一)

 

開始前の会場を包んだ琴と尺八の演奏(写真 斉藤光一)

 

国家を斉唱したNAVコーラス(写真 斉藤光一)

 

和歌山特産のショウガを使ったジンジャーエールや梅干しを使ったクッキーを紹介

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。