まず、簡単にプロフィールを。
48年東京生まれです。
大学卒業後、商社、そして外資系IT企業で勤務していました。実は私は早期退職で、英語を使って国際的なことをしたいと、日本語教師の資格を取得しました。そしてNPO団体に所属して、マレーシアやコロラドの大学で日本や日本文化について教え、続いて、国際交流基金の日本紹介プログラムで、フロリダ州の大学へ。昨年7月に帰国してから、領事相談員に応募しました。
領事シニアボランティアについて。
在留邦人の方たちが、安全に、かつ安心して生活することができるよう、電話や窓口で様々な相談を受けています。バンクーバーは留学生やワーキングホリディの方が多いので、国際交流基金で派遣されていた大学のときと相談の内容が重なることもよくあります。
どんな相談がありますか?
典型的なものは、ワーキングホリディの方などの、住宅の問題です。(Residential) Tenancy Act(住居賃貸法)についてご存知なく、デポジットの金額は半月分以内と決まっていますが、不当な額を渡している、あるいは部屋を引き払うときに、不当に返してもらえない。サブリースで借りていて、家主や同居人ともめるなど。いろいろあります。
次は雇用ですね。たとえば一日5時間働くと30分休憩と法律で決まっているのに、休憩させてもらえない、制服を買わされたとかですね。本来は、給与から差し引いてはいけません。
続いて紛失、盗難です。
そんなに多いですか?
多いです。大体、場所は決まっていて、ロブソン通りのカフェで、手口も同じです。かばんを背もたれのところに置いていて、もしくはテーブルの下に置いていて、盗まれてしまう。テーブルで見えないんですよ。
中央図書館も多いですね。音楽を聴いていて、盗まれてしまったりですね。
中央図書館は、女性に声をかける人がいると聞いたこともあります。
アジア人、特に日本人に声をかける人ですね。そうして知り合った人すべてに当てはまる訳ではありませんが、犯罪につながる可能性もありますので、気軽に話しかけてくる人を安易に信用せず,出会った人を見極める事が大切ですね
バンクーバーは世界一住みやすい町ということですが、犯罪率も高いのが実情です。そのことをご存知ない方がたくさんいらっしゃいます。
1000人あたりで比較すると、強盗は東京の41倍、暴行は12倍、性犯罪は10倍多いんです。
そんなに多いんですか。
ですから、別の相談でいらっしゃっても、帰り際に、必ずその話をします。“オジサンのたわごと”と思ってらっしゃるかもしれませんが、若い女性がそれを聞いて、「そういえばこういうこともありました。これから気をつけます」とおっしゃることもあります。それでもいいと思っています。それから、在留届は、外国に3ヶ月以上お住みになる皆様と総領事館をつなぐ重要なツールですので、是非提出していただければと思います。
年齢がもう少し上の方の相談について。
離婚とかDVに関するもの、年金の手続きの相談もあります。
最後に読者に一言。
とにかく一人で悩まないで、相談にしてください。それにつきますね。
(西川桂子)
在外選挙や新しい安否照会システムについても聞いた。オンライン安否照会システム(www.anzen.mofa.go.jp/c_info/online.html)は、ニュージーランドの地震などを受けて、新たに立ち上げられたものだ。以前の北米の邦人安否確認システムは電話でメッセージを残すものだったが、今回はオンラインだ。大規模な緊急事態が発生したときに、本人、もしくは総領事館が安否を確認して、無事という情報を残すと、2親等以内の家族が確認できる。緊急事態では電話が殺到して、回線がふさがることがあるが、インターネットを利用することで、混雑が軽減される。