2016年11月24日 第48号

「ベジタリアン」の概念を越えるベジタリアンフードを提供したい。味にも、原材料にも、そして見た目の美しさにもこだわったクオリティの高いベジタリアンを「味わってもらいたい」。そんな思いから始めたのが『ワークショップ・ベジタリアン・カフェ』。今年9月中旬、ノースバンクーバーにオープンした。

 

明るくオープンスペースな店内。マフィンやクッキーも販売している(写真 / 三島 直美)

 

こだわりのベジタリアン料理を

 自然光が優しく降り注ぐ明るいオープンスペースな店内には、女性や家族づれの姿が多い。

 「誰でもがおいしく楽しめるベジタリアンの店にしたいなと思って」と共同経営者のベイ真弓さん。自身はベジタリアンだが、そうでない夫や子供たちとも一緒においしく食事ができる、ベジタリアンの人も、そうでない人も満足できる、そんな店にしたいと語る。

 共同経営者兼シェフの山中北斗さんは「オーガニックとローカルをサポートしながら、それを食べる人がまた良くなるというか。食べ物から人は変わると思いますので、そういうお店がいいなって思って」。

 だから、こだわるところはこだわる。材料はできるだけオーガニックを使用し、地元で手に入るものを優先する。メニューはラーメンを中心にした麺類などのランチ(11時〜17時半)と、時間を選ばないトーストやスープなど。ラーメンのスープは昆布出汁を基本に野菜でコクを出す。麺も山中さんの手作り。トーストなどに使用するパンは天然酵母を使った自家製。材料にも味にもこだわっている。

 山中さん自身は本格的にビーガン(魚・卵・乳製品も摂らない菜食主義者)になって約1年。「やってみたら体調が良くて。夜もよく眠れるし、朝もパッと起きられるし。すごく動きも軽やかになって、これはいいなって思って続けてます」。

 自身が体の改善を実感しているからこそ、より健康に、よりおいしく、より楽しく、ベジタリアンフードを食してもらいたい。

 口コミですでに「予想以上に多くの人に来てもらっています」と2人とも楽しくて仕方がない様子。「大変というより楽しい」と真弓さん。家族も2人を支えている。山中さんは「こっちのカナディアンも、日本人の方もみんなおいしいと言って帰ってもらえるんで、料理人冥利に尽きますよ」と笑った。

 

「すごく心が洗われるような」

 主力メニューをラーメンにしたのは、今、バンクーバーでブームになっていること、そしてどんぶり一杯の中に「いっぱい凝縮されているのかな」と思ったから。ベジタリアンでない人もラーメンなら入り易い。

 「ヘルシーだからっていう軽い気持ちで来てもらって、ベジタリアンでもビーガンでもない人が食べた時に驚く顔がちょっと楽しいんですよね。『これほんとにビーガンなの?』って言ってくれる人がいて、『そうなんですよぉー』っていうのが結構楽しいんですよ。料理やってきて良かったなぁって」と笑う。初めて食べた時、心地良く裏切られる。それが楽しい。

 山中さんは、東京の日本料理店で10年板前だった経験をもつ。バンクーバーに来てからも日本食レストランや原材料にこだわったレストランで経験を積んだ。

 バンクーバーに来てからの友人、真弓さんと意気投合して始めた『ワークショップ・ベジタリアン・カフェ』にはその経験と2人の理想が詰まっている。

 目指すは世界究極のベジタリアン料理『精進料理』のコンセプト。「あっさりしてるんだけど、深みがあって、彩りもきれいで、ほんとにおいしくて。すごく心が洗われるような」。そんな「みんなに喜んでもらえる、おいしいって言ってもらえるメニューを作り続けたい」と語った。

(取材 三島直美/写真提供 The Workshop Vegetarian Cafe)

 

The Workshop Vegetarian Cafe
296 Pemberton Ave, North Vancouver
604-973-0163
www.theworkshopvegetariancafe.com

 

共同経営者の山中北斗さん(左)とベイ真弓さん(写真 / 三島 直美)

 

ビーガン・オーガニック生醤油ラーメン

 

オーガニック天然酵母パンを使ったアボガドトースト

 

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