2016年11月24日 第48号
Mulberry PARC(マルベリー)はブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にあるリタイアメント・リビング、高齢者住宅だ。介護はあまり必要ではないものの、それまでどおりコンドミニアムや一軒家で暮らすよりも、高齢者向けサービスも整った環境で暮らしたいという人が多く暮らしている。
マルベリーはハイゲートビレッジ・ショッピングセンターのキングズウェイをはさんで向かい側。日系文化センター・博物館からも1キロ以内で、徒歩で10分ほどの距離だ。セールスマネージャーのモニカ・ウェブさんは、「日系ホームやさくら荘への入居を待っている方が、入居されるというケースも何度かありました」と語った。日系ホームやさくら荘はアシステッドリビングに分類され、Coastal HealthやFraser Healthで必要が認められないと、入居はできない。
共用キッチン。部屋のキッチンにはオーブンがないが、本格的に料理がしたい場合、使うことができる。そのほか、料理イベントにも利用される
全室キッチン付き
全室、冷蔵庫、料理用コンロ2つがついたキッチン、トイレ・シャワー、そしてテレビが装備されている。部屋は大きく分けると、スタジオ、1BR、2BRの3種類になる。
「私は以前、1BRのコンドミニアムに住んでいたのですが、大きな窓があったりで、掃除の手間やグロッサリーの買い物が面倒になってきたので、(三食提供のある)マルベリーに入居しました」というのは、暮らし始めて5年目になる日系カナダ人のTさん。「入居した当初は、ごはんを炊いたりもしていたのですが、ここはおいしい食事込みですし、料理をすることはなくなってしまいましたね。お米が恋しくなったら、近くの直寿司に行ったりしています」とTさんは微笑んだ。
1階のラウンジではコーヒーや紅茶が用意されていて、いつでも楽しむことができるが、部屋にも冷蔵庫があるので、キングスウェイをはさんで向かいにあるSave-on Foodsなどで好きな飲み物を買ってくるそうだ。
健康でバランスのとれた生活
マルベリーは日系の施設ではないこともあり日本食に対応していない。しかし、食事の質に重点を置いていて、入居者からも好評だ。「シェフを含めた施設のミーティングに入居者も参加できるので、その際に希望があればリクエストもできます」(セールスマネージャーのモニカさん)
ビュッフェスタイルで好きなものを好きなだけ食べることができる朝食に加え、昼と夜は通常、スープ、メイン、デザートの3コース。ランチとディナーメニューは3種類で、好みのものを選ぶというスタイルだ。
マルベリーではLivingBalance TMのプログラムもある。食事に関するLivingBalance TM Nutritionメニューは、塩分や砂糖、脂肪分控えめで、健康的な食事を楽しむことができる。
ほかにもアクティビティとして、LivingBalance TM Physical Fitness (フィットネス)、LivingBalance TM Brain Fitness (ブレインフィットネス)もあり、運動や脳トレを行うことができる。
フィットネスプログラムは、椅子に座ってのヨガ、チェアヨガやチェアバレーボール、ストレングストレーニングのほか、パーソナルトレーナーが週3回勤務しているフィットネスジムもある。パーソナルトレーナーは日本人で、初めて参加するときにはアセスメントを行い、メニューを決め、その後もプログレスをモニターして、毎月、レポートも作成してくれるそうだ。
ブレインフィットネスのひとつ、大人の塗り絵は、前述のTさんのお気に入りプログラムだ。
シーツの交換、掃除、洗濯
住み心地を聞いてみると「ある意味、ホテルで暮らしているような感じですね」とTさんは語った。億劫になりがちなベッドのシーツの交換や掃除を、週一回、施設側で対応してくれることが、その理由だ。「特に、ベッドのシーツを換えるのは大仕事なので、これをお願いできるのはありがたいです」
洗濯については各自が対応することになっていて、各階に洗濯機、乾燥機がある。
充実した設備・サービス
マルベリーの魅力の一つは、民間経営ということもあり、充実した施設・設備だ。館内にはビジネスセンターもあり、コンピューターやプリンターを利用できる。また、ダイニングルームに隣接して、プライベートダイニングルームもあり、予約して、家族や友人だけとの食事会などの集まりに利用できる。
日本人の美容師が週2回勤務しているヘアサロンでは、リーズナブルな料金で、ヘアカットやパーマなどを提供。フットケアやマッサージを頼むことができるスパルームには、車椅子にも対応するジャグジーがあり、たまにはシャワーではなく、ゆっくり浴槽に浸かりたいという人にとってはうれしい。
もう一つ、入居者に便利なサービスが、『カーサービス』だ。マルベリーの車で、目的地まで送迎を頼むことができるというもので、病院の予約など、予約して利用する。利用料は毎月の料金に含まれている。使い方はいろいろで、入居者の中にはこのサービスを利用して、毎週、メトロタウンに出かけるという人もいるそうだ。
緊急時対応
部屋にはバスルームなど数カ所、プルコードがあり、緊急時にはスタッフが駆けつけてくれるのも安心だ。看護師も勤務しているので、ちょっとした相談にものってもらえる。
部屋によって異なる料金は2500ドル〜。光熱費、3食、テレビ、アクティビティ(一部を除く)、ビジネスセンターやダイニングルームの使用料、カーサービスなどの費用もすべて込みだ。「含まれないのは、電話とインターネット、駐車スペース、ストレージロッカーです。『入居前は高いなと思ったけれど、実際に入居してみて付属のサービスを利用すると、そうでもなかった』とおっしゃられる方もいらっしゃいます」(モニカ・ウェブさん)
Mulberry PARC(マルベリー)
7230 Acorn Avenue, Burnaby. BC V5E 4N9
Phone: 604.526.2248
Fax: 604.526.2278
Web: parcliving.ca
問い合わせ: Monica Webb, Sales Manaager
(取材 西川 桂子)
ダイニングルーム
バーナビー市の図書館が訪問してくれるが、マルベリーにもライブラリーコーナーがある