2016年11月17日 第47号

11月6日、ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)チャンセンターで、The Royal Conservatory of Music(RCM、王立音楽院)のゴールドメダルおよび卒業証書の授与式が行われた。同時にこの式で、バーナビー市在住のパーカー敬子さんがRCMからTeacher of Distinction賞を授与された。この賞はRCMで初めて授与されるもので、敬子さんは栄えある第1回目の受賞者のひとりとなった。

 

RCMの学院長であるピーター・サイモン博士(左)と、パーカー敬子さん(写真提供 ジョン・キムラ・パーカーさん)

 

名誉ある賞を授与

 この賞は、音楽教育の分野において、創造性豊かに、献身的かつ情熱をもって指導してきた教師に授与されるものだ。トロントとカルガリーでそれぞれ2人ずつ授与され、バンクーバー地域ではパーカー敬子さんが受賞した。敬子さんは、バーナビーの自宅を教室として、46年にわたってピアノと音楽理論を教えてきた。生徒の中には、パーカーさんの子息であり、世界的に有名なピアニストのジョン・キムラ・パーカーさんや、ジェイミー・パーカーさんがいる。

 授与式では、ジョンさんがサプライズで登場した。ニューヨーク、トロントとコンサートが続いている合間をぬってこの授与式に駆けつけたというジョンさんの登場に、敬子さんは驚き、感極まっていた様子だった。スピーチの中でジョンさんは、敬子さんの厳しくも温かい指導をうかがわせるエピソードを披露。また、敬子さんは、長きにわたる音楽教師としての思い出を振り返るとともに、卒業生やゴールドメダルの受賞者を称え、音楽だけでなく、人生を実りあるものにして楽しんでほしいと語った。

 この日の授与式では、ピアノ、バイオリン、ギター、歌などの分野で、高い得点を獲得した生徒に対しゴールドメダルが授与された他、各課程を修了した卒業生が卒業証書を受け取った。

リタイア後も充実した生活を

 式の後、レセプションが行われ、受賞した生徒や家族、友人が写真を撮ったり、親交を深めるなどしていた。敬子さんは、受賞に関して「身に余る光栄だと思います。1961年から教え始めて、リタイアしたのは2007年でした。とても楽しい教師生活でした」と語る。また、息子のジョンさんが参加しスピーチをしたことには、「昨日、トロントシンフォニーと共演していたんです。ですから、まさか彼が来るとは思っていなかったので、(登場した)その途端にバーッと涙が…。とてもうれしかったです」と喜びを溢れさせた。「今は(音楽を)教えていませんが、音楽の会を開いています。その会に入っている方たちが今日の式とレセプションに来てくれました。この会では、音楽に関する話などをして楽しい時間を過ごしてます」。他にも敬子さんは、ジェーン・オースティンの小説を翻訳し、すでに2冊を上梓している。来年初めには3冊目も出版される予定とのことだ。音楽を教えることを通して、人生を豊かにすることの大切さも伝えてきたからこその今回の受賞となったのだろう。

(取材 大島 多紀子)

 

パーカー敬子さん(中央)の受賞を祝って集まった友人のみなさん

 

パーカー敬子さん(左)とジョン・キムラ・パーカーさん(写真提供 ジョン・キムラ・パーカーさん)

 

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