2016年11月10日 第46号
10月28日、日本の内閣府が実施する「歩こうカナダ、語ろうニッポン(Walk in Canada, Talk on Japan)」の一行がブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)にて、現在の日本の経済状況や日本の魅力についてそれぞれの視点から紹介。 日本を研究する学生を中心に85人が出席し、熱心に耳を傾けた。
藤崎団長(左)からメダルを受け取るイブ・ティベルギアン准教授(右)
「語ろうニッポン」チーム初の来加
一般公募で選出された市民と有識者でチームを編成し、「日本の魅力や元気な今の日本の姿を民間交流によって北米に広めること」を目的とする本事業。スピーカー4名とスタッフ4名の一行はバスでアメリカ・ポートランド、シアトルを回って10月27日に在バンクーバー日本国総領事公邸へ。10月28日の日中は学生を対象にUBCで、夜は若手ビジネスリーダーを対象にバンクーバーのコースト・コールハーバー・ホテルで日本を紹介、その翌日に帰国した。
クイズで日加の基礎知識を伝えて
UBCでのセッションの冒頭、UBCのアジア研究所所長のイブ・ティベルギアン准教授は「日本と密接に関係を持ってきた我が大学にとって貴重な機会」と歓迎の挨拶の後、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が一行を紹介。続いて藤崎一郎団長(前駐米大使)がセッションを準備したUBCに対するお礼として、日本国政府からのメダルをティベルギアン准教授に授与。その後、藤崎団長は参加者に向けて日本とカナダに関する一般常識のクイズを出題。正答多数者に用意していたもう一つのメダルをプレゼントした。続くスピーチで、藤崎団長は、数年前は経済が停滞し、中国や韓国とも外交的にうまくいっていないとのイメージがあったかもしれないが、今の日本は成長戦略も軌道に乗り、隣国とも話し合いが進み、TPPも国会で審議されているといった現況を語り、発表を団員に引き継いだ。
省エネ
片山加奈子団員は日本の省エネ対策について、遮光と採光を効果的に実現したブラインドの導入や、ビル内の人数を踏まえて必要最小限のエネルギーで温度管理できるシステムの導入、日米共同で、日本の省エネ、創エネ技術を導入した建物を用いて、消費するエネルギーを半減させる実証実験を開始したことなどを紹介した。
経済状況
柚木克哉団員は、日本が、高齢化、人口減、デフレの悲観的材料を抱えながらも、アベノミクスの取り組みにより日本の株価が2010年からの5年間でほぼ2倍になったこと、国内総生産(GDP)も上向きであることなどを挙げ、日本の経済について心配は無用と呼びかけた。
クール・ジャパン
最後に登壇した木水恵梨奈団員は、経済産業省が推進する日本独自の魅力を発信する「クール・ジャパン」戦略と自らが感じるクールな日本を紹介。現代の日本では、欧米の文化を取り込みつつも、日本の要素を生かした商品やサービスがあるとして、マクドナルドのテリヤキ・バーガーや、スターバックスのほうじ茶ラテなどを紹介。また、日本の個人や企業がその持ち味を生かしながら、世界の多様なニーズに対応して、新たなクール・ジャパンを創出中であることを、カリフォルニアロール、BCロールなどを例に挙げて語った。
質疑応答の後も、団員を囲んで質問する学生の姿も見られ、日本を知る機会として学生に積極的な活用がなされた会だった。
(取材 平野香利)
写真左から木水恵梨奈団員、柚木克哉団員、片山加奈子団員
2014年に「歩こうアメリカ、語ろうニッポン」から始まった事業と一行を紹介する岡井朝子総領事
日本の国際関係について語る藤崎一郎団長