今回、牡蠣の早剥き大会としては異例の高額賞金、優勝者には5000ドルが贈られるとあって、カナダ国内からはバンクーバーやトロント、そして海外からはオーストラリア、USA、フランス、日本からは震災の被災地である仙台から、Jinen Bar Kuccina{イタリア語のクッチーナ(台所)と、仙台弁のくっちいな(お腹が一杯)をかけた名前}というイタリアンレストランのオーナーシェフ、穂高恒彦さんが招待を快諾して駆けつけた。
普段はアウトドア天国のウィスラー。しかし、この日会場となったベアフットビストロ・レストランには、正装したウィスラーローカルや、様々な国からの人たちがこの大会に参加した。ウィスラー市長のケン・メラメッド氏も、1分間にどのくらい牡蠣が剥けるかというギネス記録(38個が現在の記録)に挑戦する競技の証人として、この大会を見届けた。残念ながら記録更新はならなかった。


会場には、牡蠣のソースとしてはどれが一番美味しいかを競う、ベストミニョネット・コンテストのソースが7種類並べられていて、それで牡蠣を食べるだけでも、この大会に来た価値は充分。また、サイレントオークションもあり、その売り上げはカナダ赤十字を通して日本の被災地に義援金として送られる。
この大会のためにずっと練習をかさね、手から血を流しながらも牡蠣を剥き続ける挑戦者たちの果敢な姿に、Japan Love Projectの発起人遠藤明日香さんをはじめ集まった350人の観衆で、競技会場は大いに盛り上がった。


参加した13名の競技者の中から優勝したのはトロントから来たイーモン・クラークさん。勝ち抜き選だったため、回を増す毎に会場全体が異常な熱気に包まれていった。
穂高さんも「日本だと、一番牡蠣剥きが早いのは、松島の牡蠣剥き場のおばちゃんとかが丁寧で早いんですよ。でも、ここの早さは尋常じゃないですね。これだけ大会が盛り上がっていれば、大会のために一生懸命練習しているっていうのがわかりますね」と語った。
穂高さんのお店は、固い地盤の所だったので、震災の被害は少なかったそうだが、ガスがなかなか復活しない中で、店の常連さんが電気調理器を貸してくれて、二人の娘さんも含めて震災直後から地域のために炊き出しを行ったとのこと。
復興への気持ちは?という質問には、すぐに「ものすごくある」と力強く答えた穂高さん。今回のカナダでの早剥き大会への挑戦が、明るい話題となり、復興への一助となればと願う。


また同日は、在バンクーバー日本国総領事館から三宅大介副領事が出席し「3月11日の災害発生以来、在バンクーバー日本国総領事館ではあらゆる組織、個人、政府機関から、数々の援助や寄付のお申し出をいただいております。カナダの皆様からこれほど多くのご支援や励ましをいただけることに大変勇気づけられ、心温まる思いです。日本を代表し、この場をお借りして、カナダの皆さまから頂いた温かいご親切と思いやりに心より感謝を申し上げます。また、当イベントでの収益金を、カナダ赤十字を通じ、被害にあわれた日本の人々の為に寄付をしてくださるベアフットビストロへ心より感謝いたします。ベアフットビストロでのオイスター早剥き大会は、ウィスラーの年間行事として定着し、ウィスラーリゾートの名声を益々高めていくでしょう。」とスピーチした。

 

(取材:野口英雄)

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