2016年10月27日 第44号

今回はバンクーバー市内にある、公的資金を受けたレジデンシャルケアの施設、ロイヤルアーチ・メソニックホーム(Royal Arch Masonic Home 以降ロイヤルアーチ)を紹介したい。

 

シャンプレインハイツにあるロイヤルアーチ(写真提供 Royal Arch Masonic Home)

 

 ロイヤルアーチは、バンクーバーコースタルヘルス(Vancouver Coastal Health)のウェブサイトで、レジデンシャルケア(Residential Care)に分類されている。レジデンシャルケアは
・複雑なケアニーズが必要な人
・自宅で暮らすのが安全ではなくなった人
・安全な環境で24時間介護を必要としている人を対象とする。

 つまり、日本人に人気の日系ホーム、新さくら荘などといったアシステッド・リビング(自立を保ちながら、最低限の介護で生活する)施設とは異なるものだ。入居者の健康状態に変化があり、より介護が必要になると、アシステッド・リビングから、24時間体制で介護を受けられるレジデンシャルケア施設への移転が必要になることがある。ロイヤルアーチへの入居は、バンクーバーコースタルヘルスのレジデンシャルケアの資格要件に基づき、コミュニティ・ケースマネージャーを通してか、すでにレジデンシャルケアに入居している場合はトランスファー扱いで手配する。

医療サポート

 ロイヤルアーチは介護度が高い高齢者をサポートする施設で、年中無休で看護師のサポートが受けられる。まず入所前にロイヤルアーチのスタッフが、入居者のファミリードクターが、引き続きその入居者を担当できるか確認。担当できない場合は、空き状況次第だが、ロイヤルアーチを定期的に訪れる『ハウスドクター』が引き継ぐことになる。ただし、医師が施設に常駐しているわけではない。

 入居者にはそれぞれ担当准看護師とケアエイドが一人ずつ割り当てられる。看護師もいて、准看護師と共同で入居者の医療面をサポートする。着替えや入浴、トイレの使用などのヘルプは、24時間常駐しているケアエイドが行なう。また、有料だが、足のケア、眼科、UBCの歯科・義歯プログラムも施設で利用できる。さらに、1週間に1度施設を訪れる作業療法士が、車椅子などの情報を提供するほか、フィジオセラピストが入居後に入居者のアセスメントを行う。リハビリアシスタントも週5日勤務している。

食事

 入居の際には、施設の栄養士が入居者のアセスメントを行う。咀嚼力(噛む力)や嚥下力(飲み込む力)が弱くなっているか、また食品アレルギーがないか、食事介助が必要かなど、入居者の状態により食事プランを作成する。

 ダイニングルームは1階に1カ所、そして2階、3階に2カ所ずつの合計5カ所あり、入居者は自分の部屋に近い部屋を利用する。同じテーブルに座る入居者同士で会話するよう、施設側でも努力をしてくれる。

隣組のレクリエーションサービスとパートナーシップ

 ロイヤルアーチには隣組のスタッフやボランティアが定期的に訪問している。日本人や日系カナダ人入居者と日本語で話をする『お話ボランティア』以外に、今年の2月から隣組の出張で、毎月第二、第四火曜日には『いきいきプログラム』が開催されている。プログラムは、いろいろなサイズのボール、バンド、うちわ、笛、タオル、どんぐり(ツボ押し)を使い、歌を歌いながら五感の能力を最大限に引き出し、脳を活性化させるというものだ。

 さらにロイヤルアーチのレクリエーションサービス部門では、日本人、日系人入居者向けに、隣組のボランティアと音楽セラピープログラムを行っている。プログラムは1カ月に一度、入居者が集まり、日本の音楽を聞き、日本語で話をして、行事やお祝いごとなど昔を思い出すことができるというものだ。

(取材 西川 桂子)

Royal Arch Masonic Home
7850 Champlain Crescent, Vancouver BC V5S 4C7
Tel: 604-437-7343 レセプション221 (月〜金 8:30am〜4:30pm)  
www.royalarchmasonichome.bc.ca

 

いきいきプログラムで使用する道具(写真提供 隣組)

 

いきいきプログラムを担当するまさこさん(写真提供 隣組)

 

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