2016年10月27日 第44号

穏やかな秋の天候に恵まれた10月22日、JTB社主催による「JTB地球いきいきプロジェクト」がスタンレー公園で行われた。今年で3回目となる今回からは子供(7歳以上)も参加できるようになり、参加した24人はスタンレー・パーク・エコロジー・ソサエティー指導のもと、外来種植物駆除を行うボランティア活動に励んだ。

 

全員で集合写真、お疲れ様でした!

 

JTB地球いきいきプロジェクトとは

 JTBの顧客や地域の人、JTBグループの社員がいっしょになって、観光地の清掃、植樹、環境美化などに積極的に参加し、「地域を元気に、人を笑顔に」していくことを目標に活動をするJTBグループの社会的責任活動(CRS)の一環で日本国内はもちろん、世界各地でも活動している。ここバンクーバーでは、バンクーバーを象徴する美しいスタンレー公園の環境や野生生物の保全に貢献するとともに、外来種が環境に与える影響を学べる場となっている。

繁殖力の強い外来種植物

 今回のプロジェクトの協力団体である、スタンレー・パーク・エコロジー・ソサエティーのポール・ヒギンソンさんは事前のオリエンテーションで、在来種植物を脅かす外来種植物について「太い茎に多くのとげがあるヒマラヤブラックベリーは繁殖力の強い外来種植物ですが、『ブラックベリー』を実らすため比較的私たち人間が雑草扱いせずに歓迎する傾向があるため、その繁殖力をさらに増しています。地面を覆うように成長していくため、その下に以前から生息していた在来植物に光が届かず絶滅させていく、といった問題を引き起こしています。その結果、その植物を食べていた昆虫などにも影響を及ぼします。スタンレー公園を含むすべての自然界の生態系は微妙なバランスを保ちながら成り立っているので、外来種を駆除し本来のバランスを保つように努力しなければいけないのです」と、外来種駆除作業の意義を説明した。

協力しながらの駆除作業

 参加者たちは手際よく作業を行ない、1回の休憩を挟み、あっという間にヒマラヤブラックベリーが生い茂っていた一角を見事なチームワークで刈り取っていった。

 「ヒマラヤブラックベリーは在来種との区別が難しいので、しっかり説明を受けた『人の手』で駆除していくことが最適なのです。短時間にこれだけの駆除作業をしていただいて、JTBグループの皆さんの頑張りにびっくりしています」とポールさん。こののち、外来種を駆除した場所には在来種の苗を植えて、公園内の生態系を健全な形にもっていくのだそう。

 11月末に行っていた過去2回とは違い、穏やかな気温の10月。スタンレー公園は秋が深まり紅葉が美しく、都会のすぐそばにありながら豊かな自然を提供してくれる貴重なオアシス。参加したJTB社員の女性は、「バンクーバーの誇りであるスタンレー公園のために活動できるのは本当にやりがいがあって楽しい。3回目の参加ですが、毎回違った場所の説明を聞けて勉強になります。美しい自然の中で、みなさんといっしょに体を動かすのは気持ちいいものです」と、充実した笑顔で答えてくれた。作業を終えた一行は、足取りも軽く秋のスタンレー公園を後にした。

(取材 福安 恵子)

 

全員がてきぱきと働き、1時間後にはすっかり刈り取られた

 

ポール・ヒギンソンさんの説明を受ける

 

駆除を始めるグループ

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。