2016年10月27日 第44号

プレーオフ進出を逃したホワイトキャップスの今季最終戦。ライバルのポートランド・ティンバーズをホームに迎え、カスケディア杯優勝をかけた一戦となった。 

 

カスケディア杯を掲げる主将モラレスとそれを囲むキャップス選手たち

 

10月23日(BCプレース:24,083)
バンクーバー ホワイトキャップスFC  4 - 1  ポートランド・ティンバーズ

先制はキャップス。13分に中央からMFバーンズ(#28)が左足で放ったシュートが決まり1ー0。32分にはボールを上手く奪ったバーンズが再びゴールを決め、2‐0で折り返した。後半には54分に主将MFモラレス(#77)、55分にはMFメスキーダが立て続けに決め4ー0。72分にPKを取られ1点を返されたが、キャップスが大勝した。

カスケディア杯最終決戦、キャップスに軍配

 今季最終戦はカスケディア杯優勝を決める試合となった。ホワイトキャップス、ティンバーズ、シアトル・サウンダーズFCの3チームが、直接対決の勝ち点で順位を決めるカスケディア杯。この日キャップスが3点差でティンバーズに勝てば、勝敗が並び、得失点差で優勝が決まる一戦だった。

 結果は4ー1。ティンバーズはこの日勝てばプレーオフ進出が決まっただけに、プレーオフ、カスケディア杯優勝を同時に逃した。キャップスはホームでの今季最終戦をカスケディア杯優勝という形で締めくくった。

 試合後ロビンソン監督は、ファンのためにも勝ってカスケディア杯を取りたかった、「選手もそれに応えてくれた」と語った。しかし、今季は結局8位、プレーオフ進出を逃した。ACC(アムウェイ・カナディアン・チャンピオンシップ)でも決勝戦で劇的な逆転負けを喫し、2017ー18年CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)チャンピオンシップリーグ出場を逃した。

 監督は「ACC優勝をあと5秒のところで取り逃がし、プレーオフにはあと勝利2つというところで進めなかった。もしこれができていれば最高のシーズンとなった」と振り返った。それでも今季のチームは安定感に欠けていたと語り、プレーオフを戦えるチームではなかったと厳しい表情を崩さなかった。

 「来季はプレーオフ進出を実現したい。それが目標となる。今日はいい形で終われたが、そんなに簡単でないことは分かっている。34試合戦え抜けるかが重要だ」と来季を向いた。ただ来季の構想を問われると、「今日終わったばかりなので、今日はカスケディア杯優勝に浸りたい」と明言を避けた。

 来年2月には早速、グループCを1位通過したCONCACAFチャンピオンシップリーグ決勝ラウンドが控えている。キャップスにとって来季のレギュラーシーズン開幕までじっくりとチーム作りという余裕はない。これから急ピッチでチームを立て直す必要に迫られている。

工藤、最終戦は出場機会なし

 MLS初シーズン最終戦は、結局出番はなかった。前半で2ー0とリードし、チームが大量得点を取る中、ベンチから見守るしかなかった。チームはカスケディア杯優勝で終わったが、試合後、本人は厳しい表情を浮かべていた。

 「シーズン通して言えば(チームも)物足りないと思いますし、僕としても初めてのシーズンというところを考えてもいろいろ課題もありますし、まだまだやるべきことはあります」とシーズンを終え振り返った。

 今季は出場機会にも思ったほど恵まれず悔しいシーズンとなった。言葉の端々に歯がゆさが見え隠れする。「勝っても負けても今年最後だったので、試合で貢献したかったけど、ピッチに立てなかったので」と工藤。サブスタートで途中出場という場面も多く、ここ一番の時にフォワードとして監督に使ってもらえなかったことに「監督からの信頼、勝ち取れなかったっていう悔しさもあります」と語った。

 契約は2年で、来季もキャップスに残ることが前提となっている。MLSはオフシーズンに何が起こるか分からないが、「この悔しさを来年に向けてぶつけて」と工藤、「ここに残るんであれば、ここで結果を残すためにすっきりした気持ちで1月からのスタートに臨みたいと思います」と来季を見据えた。

 (取材 三島 直美 / 写真 斉藤 光一)

 

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