2016年10月20日 第43号

人気急上昇中の『道頓堀プロレス』の一行がやって来た。嵐の警報が発せられていた10月14日、カナダのプロレス団体ASWとの合同興行が実現、バンクーバー、オークブリッジにほど近いスコティッシュ・カルチャーセンターで開催された。200人を超える観客が選手とともにエキサイトした。

さあさあ大乱闘の始まり〜!

 

いま、地域プロレスが、熱い!

 日本のプロレスは、大相撲の関脇・力道山が廃業後、アメリカへ渡り、帰国後の1953年にプロレス興行を行なったのが始まりだ。その後、豊登、ジャイアント馬場などのプロレスラーも数々登場し、人気が高まるにつれ、団体の離合集散も繰り返した。現在は、100を超えるプロレスの団体が全国各地にあるという。そのレベルは様々だが、『地域プロレス』と呼ばれ、その地域の人々に支えられ人気を博している。『道頓堀プロレス』もその一つで、大阪を中心に人気が沸騰している。このバンクーバー興行にも『追っかけ』ファンがついて来ていたほどだ。

空牙選手が2013年に旗揚げした大阪の『道頓堀プロレス』

 空牙選手は和歌山県の出身で、子供の頃からテレビでタイガーマスク(新日本プロレス)を見て憧れ、高校卒業後すぐさま上京。入門テストでは、ヒンズースクワット1000回、プッシュアップ(腕立て伏せ)50回の項目などをクリアし、入門した。1995年、SPWF(社会人プロレスリング連盟)所属選手としてデビュー。2006年大阪プロレスに入団、2013年に退団後、『道頓堀プロレス』を旗揚げした。もともとヒール軍を結成するなど、荒っぽい戦いぶりが、空牙選手の真骨頂なのだ。

 現在、所属の主要参加選手は23人を擁している。今回のバンクーバー興行には、8人が参戦。カナダ・バンクーバープロレス団体ASWの選手との熱狂的な戦いを展開した。

会場は、沸騰! 観客は日頃のストレス大発散!

 1対1、2対2、3対3の戦いが5試合行われたが、それぞれの試合が始まる前から、選手の舌戦、パフォーマンスが始まり、会場からもヤジや怒号が飛び交う。それにリング上から選手が返す、応える。選手とファンが一体となって戦うのだ。大技、小技の掛け合い、時にはレフリーの目を盗み、カウントギリギリまでのルール破りの技をかける。リングから飛び出してのファイトあり、折りたたみ椅子で殴る大乱闘あり、会場からの怒号が飛ぶ。外の嵐も静まるほどのファイトであった。試合中は、誰もが日頃の硬いカラをかなぐり捨て、絶叫し、ストレスを大放出するのだ。こんなエンターテイメントが他にあるのだろうか。

 会場には、紳士、淑女然とした人も、家族連れも、女性グループも数多く見られる。200人を超える入場者の中には、日系の人も多く見られた。そんな中のワーホリ4人組の女性たちに聞いてみた。「私たちは初めてプロレスを見るんですが、こんなにもエキサイトするとは思いもよりませんでした。選手と会場の人とのやり取りや、コントのようなエンターテイメントは楽しくて仕方がありません」と口をそろえて言い、楽しんでいた。

「一年に1回はバンクーバー興行に来たいですね」

 空牙選手は、「今回は、2006年にバンクーバーに来て以来のことですが、今日の皆さんの喜んでいただけた様子を見ると、これからは年に一度は、興行に来るようにしたいですね。日系の方も多く住んでいらっしゃるようですし、思いっきりストレスを発散をしていただけるお手伝いにもなれば、と思います」と語った。また、「面白いからといって、安易に技をかけて遊んだりしないでください。プロでも危険なことが多いので」と優しい一面を見せるナイスガイであった。

(取材 笹川 守)

 

リングと会場が一体となってエキサイト!

 

観客のヤジに選手も真剣に答えて盛り上がる

 

選手がグッズ販売、握手をして親交を深める

 

試合後、息もまだ荒い中、インタビューに応えてくれた空牙選手

 

日の丸掲げた『追っかけ』ファン

 

ワーホリ4人娘もエキサイト!

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。