2016年10月6日 第41号

初めての開催で多くの人が訪れる

9月29日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのThe Imeprialで、BC州日本酒協会が主催し、在バンクーバー日本国総領事館の後援による「バンクーバー日本酒フェスティバル2016」が開催された。昼の部と夜の部を合わせて約550人が参加した。

 

岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(右)と、BC州日本酒協会会長の宮本玲さん

 

西部カナダで最大の日本酒イベント

 このイベントは、リカーストアやレストランなど業界関係者を招いた昼の部と、一般消費者向けのテイスティングを行った夜の部との2部構成。また、主にレストラン関係者を対象とした日本酒セミナーも開かれた。夜の部では、12社の酒蔵や輸入業者が80を超す銘柄の日本酒を提供した。350枚の前売りチケットは完売、会場に詰めかけた参加者が多様な日本酒のテイスティングを楽しんだ。

 テツ太鼓による和太鼓の演奏がイベントの幕開けを飾った。ブルーノート・ワイン&スピリッツ社社長で、BC州日本酒協会副会長のパトリック・エリスさんが司会進行を務めた。まず、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、このイベントが日本酒の魅力を広く知らしめるものであるとして、参加者にはぜひいろいろな日本酒を楽しんでもらいたいと挨拶した。続いて、Mikuレストランで酒スペシャリストとして従事するミキ・エリスさんと、BC州日本酒協会会長の宮本玲さんがそれぞれ挨拶に立った。会場には22のテーブルが並び、どこも順番を待つ長い列ができていた。本醸造、吟醸、純米などの各種日本酒の他、梅酒、スパークリングなど、和食だけでなく洋食にも合う日本酒も多数紹介され、その奥深さを感じさせた。

日本酒のさらなる普及を

 イベントの参加者は日本人だけでなく、さまざまな人種的バックグラウンドの人たちが多数見受けられ、日本酒がモザイク都市であるバンクーバーでかなり浸透してきていることがわかる。バンクーバーの代理店を通して日本酒を卸している利守酒造(岡山県)の専務取締役、利守弘允さんは、「日本酒が広く普及してきたなと感じます。純米とか純米吟醸という言葉も普通に通じますから。今後は日本食レストランだけでなく、ローカルのレストランでも普及していけばいいなと思います」と話す。今回の日本酒フェスティバルの総責任者でもあるパトリック・エリスさんは、「日本酒は寿司に合わせるだけのものではなくて、洋食にも合うということも知っていただきたいですね。ビールやワインだけではなくて、今度パーティーに行くときには日本酒を持っていってみてください。今回のイベントではいろいろなメーカーさんも来てますので、直接お話したり質問できますし、なによりみなさんが楽しんでいらっしゃるのがうれしいですね」と語った。

 岡井朝子総領事はインタビューに応えて、「日本酒のプロモートは国策といえますので、総領事館としてもできるだけのサポートをしたいと考えています。日本酒は過去10年間15%増の売り上げアップを見込めるというポテンシャルがあるのに、まだあまり知られていないのはもったいないことだと思います」と語った。ニューヨークに駐在経験のある岡井総領事は、かの地では酒専門のバーがどんどんオープンするほど日本酒がブームになっているとして、バンクーバーでもこうした専門店が拡大する潜在性は十分にあると考えている。また、「今回の日本酒協会の戦略は正しいところをついていて、レストラン業界、酒取扱業者、ワインソムリエなどをターゲットとして啓もう活動を行っています。一般の消費者へ広めるためには、まずはそういった業界の方の関心と理解を得ることが重要なので、今回の企画はそういった意味でも大変意義があったと思います」と語った。

(取材 大島 多紀子)

 

日本酒のテイスティングを楽しむ人たち

 

酒取扱業者のスタッフとも話が弾む

 

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