BC-日本地震支援基金(BC-JERF)は、東日本大震災が発生した翌日の3月12日に、被災者の人たちのために何かしたいという人たちで発足した団体だ。これまでにも多数のボランティアが協力して、街頭での募金活動、BC州各地で募金箱設置協力の依頼、サイレントオークション、ラッフルチケットの販売など、さまざまな活動を行っている。中でも大きな注目をあびたコンサートは、被災者支援のために、BC-JERFに関わってきた日系カナダ人の映画制作者、リンダ・オオハマさんが提唱した。
オオハマさんのアイデアに、バンクーバーで生まれ、育った、世界的に有名な日系カナダ人ピアニスト、ジョン・キムラ・パーカーさん、バンクーバー交響楽団、ココロダンスを主宰するジェイ・ヒラバヤシさんの舞と山城猛夫さんの尺八、ゴスペル音楽のザ・ソージャナーズ、オルタナティブ・ロックの54-40、地元の太鼓グループが合同で結成したTaiko for Tohokuをはじめ、多彩なジャンルのアーティストが賛同。そうそうたる顔ぶれが、ボランティアで出演するコンサートとなった。
出演者だけではない。「コンサートの実現には多数のボランティアやサポーターの皆さんが協力してくれました」(BC-JERFの事務局がある隣組の事務局長、デービッド岩浅さん)「バンクーバー市にはクイーンエリザベス劇場を無料で使用させていただきました。これは極めて異例のことだと聞いています。また、チケットマスターも手数料無料で、コンサートチケットの販売にご協力いただきました」という。さらに、コンサートのフィナーレで登場した1万4000羽を超える折鶴は、震災で亡くなった人たちへの想いをこめて、ボランティアが用意したものだ。
『頑張れ日本!』コンサートの収益は20万ドル以上にのぼった。リンダ・オオハマさんとデービッド岩浅さんが、5月6日にバンクーバー日本総領事館に届けた義援金はそのうち8万5534ドルだ。こちらは総領事館から日本赤十字へ、残りの約12万ドルについては、税金控除のための領収書が必要であるため、カナダ赤十字を通じて日本赤十字へ送付される。
「私たちが被災者の人たちに送るのは、お金だけでありません。被災した皆さんのために何かしたい、力づけたいという想いも一緒に送ります」と、リンダ・オオハマさんは在バンクーバー日本国総領事、伊藤秀樹氏に気持ちを託した。
「大震災が起こって1ヶ月という短い期間に、本当に多数の人たちが協力して、素晴らしいコンサートの開催を実現して、たくさんの金額を集めることができました。出演者はもちろん、ロビー、ステージの後ろでお手伝いをしてくださった人たち、バンクーバー市…たくさんの人たちが、一つのハート、一つの想いの下で集まったと感じることができたことは、最高の成果だったと思います。そして、フィナーレで(被災者を想って折った)1万4861羽の鶴が降りてきたのを見たとき、私は被災者のたちの心もここにあると感じました」
小切手を受け取った伊藤総領事は、「本当にたくさんの皆さんから、温かいご支援をいただき、感謝をしています。当日は私も出席させていただきましたが、大きなクイーンエリザベス劇場がほぼ満席という状況で、本当にありがたいと思いました。震災の被災者の人たちを支援したいというお気持ちは、現地の人たちを勇気付けることができると思います」と、感謝の意を述べた。
総領事館に届けられた義援金は、送金手数料の節約などのために、1ヶ月分ごとに送金される。
(西川桂子)