2016年7月28日 第31号
7月17日、恒例の企友会、日加商工会議所共催のゴルフ大会が、ブリティッシュ・コロンビア州ピットメドウズ市のメドウガーデンズ・ゴルフコースで開催された。総勢39名が参加し、銀製の優勝カップ、橋本元総理大臣杯の獲得を目指してスタートした。メンバー間の懇親を目的に発足したこの大会も、今や日系コミュニティの懇親を深める場として定着した感がある。ゴルフ特有の開放感がなせる技か、スタート前の練習グリーン周りでは、爆笑あり、肩叩き合うシーンがあちこちにみられる。さて、昨年より腕は上がったのか、ライバルの胸のうちを探りながら、ゴールデンイヤーズ・マウンテンに向け1番ホールのティーショットを放っていた。
スタート前の全員集合記念撮影
「励ましあおう」、「情報交換しよう」と発足した「企友会」
1987年、バンクーバー在住の有志で結成。1993年に公益法人としてカナダBC州に登録。このゴルフ大会の発足時は、ゴルフ愛好家たちが三々五々集まって始まったものが、橋本龍太郎元総理大臣(在位1996年〜1998年)より銀製のトロフィーを寄贈され、さらに、2006年には「日加商工会議所」も加わり共催のゴルフトーナメントとなって盛大に開催されるようになった。異国の地で、孤独感や、コミュニケーションの難しさ、企業文化の違いなどストレスの多い中、一日童心に返り、楽しめるゴルフトーナメントは、参加者にとって貴重な懇親の場。ビジネスにはもちろん、プライベートにも支え合う場として認識されてきた。今でも、新しく日本から赴任してきた人や、起業を始めた人の人的ネットワークづくりの足がかりを作るきっかけに、格好の一日となっている。
参加者が無邪気に遊べるために…裏方さんあり
ゴルフのゲームには、スコアの良し悪しだけではない楽しみ方がある。その代表的なものが「ダブルペリア方式」と呼ばれるハンディキャップをつけるやり方。18ホール中、任意の12ホールを選ぶ、これを『隠しホール』という。その12ホールでの結果が、たまたま悪いスコア(多い数)であれば、高ハンディがつく仕組み。つまり、ありていにいえば、下手な人にもお手盛りをしてあげる塩梅だ。だから、上手下手無関係に、全員に、あの銀製の総理大臣杯と豪華賞品を獲得できるチャンスがあるというわけだ。
だが、この計算には面倒な労力が必要だ。これを簡単に、しかもワクワクドキドキを演出する仕組みのコンピューター・ソフトを開発した人がいる。このトーナメントの幹事を務める塚本隆志さん(企友会理事)だ。塚本さんは1999年、日本の会社の駐在員として来加。コンピューターに使われるICの設計を行っていた。その後、予定より早く帰国の命がおりたため、退職し、カナダにとどまった。退職後は、IT関連のベンチャー企業を日本に紹介するコンサルタントと、コンピューターの活用を教える教室や修理をする現在の仕事を始めた。その仕事ぶりは、一歩踏み込んだお世話が定評で、さまざまな企業や個人に頼られている。ビジネスばかりではなく、このゴルフトーナメントの幹事役や、日系最大級の春を迎えるお祭りのバンデューセン植物園『サクラデイズ・ジャパンフェア』の実行委員長、『懇話会』の事務局も務めている。頼まれればイヤといえない性格で日系コミュニティのために寄与している。
総理大臣杯を 獲得したのは上山健三(かみやまけんぞう)さん
おなじみのディナータイムが進行する中、プロジェクターを使って成績が発表されるが、ランダムに選ばれる隠しホールを交えながらの発表は、順位が刻々と変わるため全員がハラハラ・ドキドキのお楽しみ。「同じ組でラウンドしたお二人が、多少塩梅してくれたおかげです」と、ジョークを飛ばしながらの男子ネット優勝のあいさつをした上山さん。女子ネットの優勝者は、塩入勝子さん。名誉ある男子グロス優勝者は中村鋭司さん、女子は長井せりさん。やんやの喝采と、怨嗟の冷やかしなどが混じった表彰式であった。
「天気も良く、事故などもなく、全員がたっぷり楽しめたトーナメントでした。すっかりお世話になった塚本幹事に感謝します」と、日加商工会議所の別所和雄さんのあいさつが、いかにもうれしそうで印象的であった。
(取材 笹川 守)
男子ネット優勝の上山健三さんを中心に同組でラウンドした池永清さん(左)と橋本雅之さん(右)と喜び合う
男子グロス優勝者の中村鋭司さん
女子グロス優勝者の長井せりさん
各組のスコアカードを集め入力に忙しい塚本さん
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