2016年7月28日 第31号

リベンジを誓ったチームOadealの第2戦は7月23日『ハリソンレークドラゴンボート・レガッタ』だ。 バンクーバーから車で2時間弱。60℃を超える天然温泉が湧き出るハリソンホットスプリングスはこぢんまりとしたリゾート地として人気がある。毎年7月末にドラゴンボートレースが行われる。第12回目のことしは女性21チーム、ジュニア1チーム、混合44チームが参加、レーサーとしての参加者は1850人、観客はおよそ2500人だった。

 

レース風景

 

◆リベンジなるか?

 ハリソンドラゴンボート・レガッタは1日のみの競技イベントだ。スケジュールはタイト。1日で4本のレースをこなす。まず200mと500mの予選レース。この2本の合計タイムを基にディビジョン分けされて、第3レースはセミファイナル、そして第4レースはファイナルを戦う。

 我がチームは500mの予選レースが2分34秒640。予選レースとしては上々の滑り出しでディビジョンCに区分けされた。第3レースで上位2位以内に入れば第4レースが決勝レース。第3レースの順位が3位以下の場合はConsolationと呼ばれる順位決定戦に進むことになる。

◆ 運命の分かれ道、第3レース

 第3レーススタート時に強風で船が横に流され、ブイに接近してしまう不運がありタイムロス、後半追い上げたものの2分40秒370で4位となった。各チーム、強風の影響でタイムは伸びなかった。2位とのタイム差は3秒320、3位とのタイム差は2秒269差だった。またしてもメダルに届かなかった。

 500mのレースで3秒以上離されたら、実力の差は明らかだが収穫もあった。中盤でかなり離されていた左隣の船。ゴールラインを越えた瞬間にはこのチームの船尾が私の真横だったのだ。隣のチームは3位だったから第4レースで再び戦うことになる。新たなリベンジの機会を与えられたことに感謝したい気持ちになった。次は負けない!

◆ ラストミッションの第4レース

 第4レースの順位決定戦は5チームで争った。

 午後3時過ぎ、スタートのホーンが響く。出だしの10ストロークは悪くない。テンポアップで加速したいところだが、ここが我がチームの弱点。非力な年配女性パドラーが多いために他チームのように、速いテンポで漕げないのだ。じりじりと隣のチームから離されていくが、ここが我慢のしどころだ。過去のレース経験から、我々と同レベルの争いなら、必ず後半にペースが落ちる。これはパドラーの力量にばらつきがあるチームの宿命だ。弱いパドラーのペースが落ちるとシンクロが乱れ、スピードは一気に崩壊する。チームOadealは序盤を抑え気味のペースでシンクロしたパドリングに留意し、後半にスパートをかける作戦で挑んだ。中間地点通過時にはセミファイナルで3位だったライバル船と1艇分の差をつけられていたが勝負はここからだ。スパートだ。ありったけのパワーで前方の水をだぐり寄せる。大声でタイミングを発して、非力なパドラー達の折れそうな心を叱咤して、パドリングのペースに食らいつかせたのだ。セミファイナルでは2秒269差で負けたチームをゴール前で追い抜き、逆に1秒368の差をつけたのである。このレースでは堂々2位でフィニッシュだ。リベンジ、一応達成である。

◆VIVAドラゴンボート!!

 順位決定戦の上位チームのご褒美はメダルではなくリボンだった。真紅のリボンには『CONSOLATION』という文字があるものの『SECOND PLACE』という文字もあり、ドラゴンボート参戦初年度としては上出来だった。団体競技としてのドラゴンボートの面白さは綱引き競技に似ているところにあると思う。綱を引いたり、相手の引きに耐える時は全員がシンクロした動作をしなければならない。ドラゴンボート競技ではパドルを漕ぐ動作を全員がシンクロさせることが何より重要だ。いずれの競技も、屈強な人が一人でどれだけ頑張っても全体に及ぼす効果は小さい。それどころかシンクロしない独りよがりな動作はむしろ逆効果だ。 「One for all, All for one」 - 団体競技の心構えを実感できた2016年のドラゴンボートチャレンジだった。

(文・写真 丸山 勧)

 

筆者が受け取った順位決定レース2位のリボン

 

ゴール前のスパート

 

チームOADEAL

 

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