(左から)ジェレミー・ポッツさん(バイオリン)、シマ・タケダさん(バイオリン)、サラ・トレードウェルさん(ビオラ)、ネイサン・ジャックリンさん(チェロ)

ビクトリア大学の学生が被災者支援のためにコンサート
コーヴィチ弦楽四重奏のメンバーは、ビクトリア大学で音楽を学ぶジェレミー・ポッツさん(バイオリン)、シマ・タケダさん(バイオリン)、サラ・トレードウェルさん(ビオラ)、ネイサン・ジャックリンさん(チェロ)の四人だ。出会ってすぐに意気投合し、「ずっと一緒に演奏していたい」というほど仲の良い四人は、昨年コンサートを開催。しかし一度ではまだ足りないと感じ、次のコンサートを企画していた。そんな時、東日本大震災が発生。自分たちにもなんとか支援できないかと考え、今回のコンサートをチャリティーコンサートにし、収益の全てを義援金として寄付することを決意した。シマさんの母、竹田麗子さんのリクエストもあり、日本の曲「さくらさくら」、「花」、「故郷(ふるさと)」も演目に加えた。


息の合った演奏で観客を魅了
日本の曲以外には、ハイドンの弦楽四重奏曲第76番、トビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調(作品10)、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番ハ短調など、メンバー全員が好きだという名曲の数々を優雅に奏でた。「コーヴィチ弦楽四重奏」というグループ名は、ショスタコーヴィチに由来するそうだ。四人の息の合った演奏に、観客は穏やかな表情で聴き入っていた。アンコールでは、躍動感溢れるアストル・ピアソラのタンゴの楽曲「リベルタンゴ」を披露し、会場を大いに盛り上げた。
コンサート終了後は、レセプションが催され、来場者は軽食を楽しみながら、笑顔で感想を語り合っていた。美しい音楽には、人の心を癒す効果がある。聴衆からは、「素晴らしい演奏で、感動しました」との賞賛の声が多数聞かれた。


被災地の人々を助けたいという思いを込めて
インタビューに応じたバイオリンのシマさんは、親戚が日本に住んでいること、ビオラのサラさんは、地震発生時にホストファミリーとして日本人学生と一緒に住んでいたことなどを話してくれた。カナダでも多くの人々が、あらゆるかたちで、日本と関わりを持っている。今回のコンサートには、被災地の人々を遠くからでも支えたいという若いアーティストの思いが溢れていた。世界中から届く温かい気持ちと義援金が、日本の復興を助けることは間違いない。


(取材 船山祐衣)

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