7月7日、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にあるシニア向け住宅の新さくら荘と日系ホームを訪問した。岡井総領事は、当地の高齢者が必要としていることに、総領事館として何ができるかについて関心を寄せており、シニアの住居施設を視察し、意見を聞く機会を持った。
入居者の方々とのざっくばらんとした話し合いの中で、領事サービスへのリクエストも出ていた。新さくら荘にて
日系ホーム
岡井総領事は、ことし6月に医療・福祉関係者と懇談を行い、在留邦人のシニア層の現状と課題について意見を交換。孤立してしまう高齢者をなくすため「ストップ・ザ・孤立」を目指し、関係者とのネットワーキングを行い、地域密着型のアウトリーチ活動を展開したい考えだ。その一環として、新さくら荘および日系ホームを訪問、施設や部屋を見学し、入居者と歓談した。
日系ホームでは、アクティビティ・ボランティア・コーディネーターのリュウ裕子さんの案内で、アクティビティルームや入居者の部屋を訪ねた。七夕ということで、この日のアクティビティプログラムでは短冊など七夕の飾りを作っていた。日本人や日系人は手先が器用ということもあるのか、クラフトのクラスは人気があるとリュウさんが説明。
続いて、小本勉さん、麗子さん夫妻の部屋を訪れた。日系ホームには59部屋があり、1寝室、リビング、キッチンスペース、バスルーム等が備えられている。入居者自らが家具を備え入れ、できるだけ自立した生活を営めるようになっている。加えて、1日2食は常時提供され、週1回の部屋の掃除、ベッドシーツなどの交換と洗濯といったサービスが提供されている。また、准看護師と介護士が24時間で緊急時に対応できるように待機している。日系ホーム理事長のルース・コールズさんとエグゼクティブ・ディレクターのキャシー・マキハラさんが、日系ホームの運営やこれからの展望について説明、岡井総領事は熱心に話に聞き入っていた。
新さくら荘
日系ホームと道を挟んで向かい側に建つ新さくら荘には部屋が34室、それぞれ1寝室、キッチン、リビング、バスルームなどが備えられている。こちらは生活全般を入居者自身が行うシニア向けアパートといった施設だ。
日系ホームのアウトリーチコーディネーターである渡瀬容子さんが案内し、入居者の1人、上坂(こうさか)和枝さんの部屋を訪ねた。他の部屋に住む友人も参加して、新さくら荘での生活などについて岡井総領事と話をした。上坂さんは、日系ホームと隣接する日系文化センター・博物館で行われるさまざまなプログラムに参加しているとのことで、いきいきと楽しく過ごしている様子がうかがえる。
その後、アメニティールームで岡井総領事を囲み15人ほどの入居者が歓談した。在留証明書など必要書類を取るために領事館へ行くことが困難なシニアのために、日系センターでの領事出張サービスを考慮してほしいという希望が出て、岡井総領事は実施できるようにすると答えた。そして、シニアの人たちが、受けられるはずのサポートを受けることができないといった孤立状態にならないように、ネットワーク作りに力を入れたいと話した。また、領事館が配信しているメールマガジンで、いろいろな情報が得られ楽しみに読んでいるという人もいた。岡井総領事は自身のフェイスブックでもこまめに活動内容を紹介しているので、ぜひそちらも合わせて目を通してください、と語った。
(取材 大島 多紀子)
新さくら荘で上坂(こうさか)和枝さん(右端)の部屋を訪問した岡井総領事(右から2人目)、コビヤマ・ケイコさん(左端)、木村充子(みちこ)さん
日系ホームに入居している小本勉、麗子夫妻と岡井総領事(右端)
日系ホームの現在空いている部屋も見学。左からキャシー・マキハラさん、ルース・コールズさん、岡井総領事、日系文化センター・博物館会長の林光夫さん
日系ホームのアクティビティルームでクラフトプログラムを見学する 岡井総領事(右端)
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