ことしで2回目となる病院支援のためのチャリティーコンサート『スリー・ベネフィット・コンサート』は3つの病院への寄付を目的として開催された。6月25日ウェストバンクーバーにあるウェストバンクーバー・ユナイテッド教会を皮切りに26日はラドナー、27日はキツラノでコンサートが開かれ、それぞれの収益金はライオンズゲート病院、デルタ病院、バンクーバー総合病院に寄付される。 このコンサートを企画したアダムス弘美さんは、昨年、ご主人のコンラッドさんがバンクーバー総合病院に入院した時、病院側からハーピストである弘美さんへ依頼があり何度か演奏した。その縁で病院へのチャリティーコンサートの企画を考えたそうだ。
演奏終了後の集合写真
◆ 能の舞い、ハープ、ピアノ、そして合唱
ウェスト・バンクーバー・ユナイテッド教会で開催されたコンサートでは、アダムス弘美さんが奏でる『さくらさくら』に合わせ、平野弥生さんが能を舞った。ハープの豊かな音色とお面を付けて踊る日本の能とのコラボは、他ではあまり見られないユニークな演目。その後、大竹美弥さんによる情熱的なハープ演奏『バロック・フラメンコ』。続いて庄司蛍乃佳さんとキティ・シャオさんのハープとピアノによる『コンチェルト』。数ある楽器の中でも独特の優美さにあふれるハープの音色に、観客はしばし酔いしれた。
アダムス弘美さんとは30年来の友人で、コンサートの主旨に賛同して、ことしも東京から駆けつけた、いまいのりこさんは国際的に活躍するプロピアニスト。ショパンで始まった独奏はバッハ、ドビュッシー、ガーシュウィンへと続き、最後はベートーベンの『月光ソナタ』で締めくくられた。ベテランピアニストの作り出す世界に観客は引き込まれ、演奏終了後も拍手は鳴りやまず、いまいのりこさんはアンコールにも笑顔で応えた。
さらに、鈴木ルースさん指揮によるさくらシンガーズが見事な混声四部合唱で「日本の四季」をテーマに懐かしい唱歌を披露。心が一つになった歌声は教会に心地よく響き、日本のなつかしい情景が浮かび上がってくるかのようだった。
最後は地元ウェストバンクーバーを拠点に活動するウェストバンクーバー・シンガーズが心のこもった歌声を響かせ、音楽に酔いしれた贅沢な時間はあっという間に終了した。
音楽の素晴らしさと音楽が持つ力を改めて実感できた、素晴らしいチャリティーコンサート。「チャリティーコンサートの企画は大変ですが、クラシック音楽や身近に楽しめて心に残る歌を子供達や高齢者、または病と闘っている人達にも楽しんでいただきたい。そして、そのコンサートの収益金が病院のために少しでもお役にたてればうれしいですね」とアダムス弘美さん。彼女の思いは多くのミュージシャンの共感を呼び、ことしも3日間のコンサートは大成功に終わった。
(取材 福安 恵子)
素晴らしい合唱を披露したさくらシンガーズの皆さん
演奏が終わり笑みがこぼれるいまいのりこさん
ハープを演奏する大竹美弥さん
能を舞う平野弥生さん
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