カナダデーの7月1日、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市スティーブストンでのサーモンフェスティバル。71回目を迎えたこの祭りのパレードを、ことしも楽市の神輿が熱く盛り上げた。

 

今年も迫力のあった楽一の神輿(Photo by Miyuki Nakamura)

 

セイヤ!セイヤ!

 午前10時、薄曇りの中、パレードはギャリー・ポイント・パークから出発。「ハッピー・カナダ・デー!」と声を上げながら、各種団体が通りを練り歩く。キャラクターの着ぐるみや装飾を着けた車、コミュニティバンドにダンスグループ…。そうしたグループとは桁違いの関心と注目を集めていたのが楽市の神輿だ。法被をまとったメンバーは約100人。重い神輿を汗かき担ぐ姿、「セイヤ!セイヤ!」の威勢のいいかけ声、太鼓と笛のお囃子(はやし)、神輿の先導者があおぐ大きなうちわ、そのすべてが観客を湧かせた。それを物語っていたのが携帯カメラを構える大勢の人たちの興奮気味で喜々とした表情だ。

 パレードを終えた晩香坡(バンクーバー)神輿の会・楽市を率いる山本実さんに聞くと、大事にしていることはいつも同じ「無事と健康を祈って楽しく神輿を担ごう!」だと満面の笑顔で語ってくれた。

 

日系イベントが 大きな柱の一つ

 スティーブストン・コミュニティ・センター周辺には三つのステージが設けられた。音楽やダンスを披露するメインステージ、子ども向けステージ、そしてもう一つが武道場での日系のステージだ。茶道のお手前や琴の演奏、居合道や空手のデモンストレーションなど、全部で11のパフォーマンスが繰り広げられ、日本のお祭りとも呼び得る存在感を生んでいた。

 さらにスティーブストン日加文化センター内では、生け花や盆栽、木目込み人形の展示のほか、着付けコーナーや書道を体験できるコーナーも。特に着物体験は人気があり、家族や友人に写真を撮ってもらい着物姿を喜ぶ人たちで賑わいを見せた。そのほか7月末開催予定のパウエル祭や日系団体紹介のブースもあり、日系コミュニティの催しが盛りだくさんだった。

 

大きな網で焼かれる大量のサーモン

 祭りといえば食べ物。サーモンフェスティバルといえば、サーモンバーベキューである。例年このサーモンバーベキューを目当てに多くの人が訪れる。今回サーモン3千切れを用意したという売り場には、今年も長い列ができていた。同じくフードコーナーでは、スティーブストンの武道グループ、日本語学校、仏教会が合同でチャウメンを販売し、人気を得ていた。同グループの収益はスティーブストン・コミュニティ・ソサエティに寄付される。

 日系移民の歴史を刻むスティーブストン。この地で日系の人々が地道に重ねてきた貢献ぶり、その証(あかし)を同フェスティバルで見た思いだ。

(取材 平野 香利)

 

楽一のパレードにはこどもたちも大活躍(Photo by Miyuki Nakamura)

 

「日本の祭りここにあり!」と強いインパクトを与えた楽市の神輿

 

英文字で名前を書き込む姿が新鮮だった書道コーナー

 

初めて着物を着る女の子を母親が微笑ましく見守っていた

 

大量に焼かれるサーモンの香ばしいにおいに誘われて人々が集まる

 

日系団体合同でチャウメンを販売

 

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